西伊豆(読み)にしいず

改訂新版 世界大百科事典 「西伊豆」の意味・わかりやすい解説

西伊豆[町] (にしいず)

静岡県東部賀茂郡の町。伊豆半島西海岸の中央に位置する。2005年4月旧西伊豆町と賀茂(かも)村が合体して成立した。人口9469(2010)。

西伊豆町北西部の旧村。賀茂郡所属。人口3521(2000)。天城山地に連なる山から発する宇久須川が中央部を西流して,駿河湾に注ぐ。村域のほとんどが山林で,耕地は少ない。東部の山地に県営天城育成放牧場があって牛の飼育が行われる。農林業ではおもにカーネーションを中心とする花卉シイタケ栽培などが行われるほか,宇久須川沿いで稲作が行われる。北部には全国一の産出量を誇るケイ石の産地がある。西部の海岸地帯には北に宇久須,南に安良里(あらり)の両集落があり,その間に景勝地黄金崎がある。宇久須には温泉がわき,キャンプ場も開設されている。安良里はかつてイルカ漁で知られた漁港で,現在はカツオ,サンマ,サバなどを水揚げする。宇久須から安良里にかけての海岸は海水浴場として知られる。国道136号線が通じる。

西伊豆町南東部の旧町。賀茂郡所属。人口7747(2000)。地形は急峻で,天城山地に連なる山地が海岸まで迫り仁科川が中央部を南西流して駿河湾に注ぐ。温暖な気候を利用して段々畑ではマーガレットなどの花卉栽培,傾斜地ではミカン栽培が行われ,低地では稲作のほか,ビニルハウスでチューリップなどの球根栽培が盛んである。仁科川上流域ではシイタケを産する。海岸の北部は出入りに富み,天然の良港田子港がある。ここで水揚げされるカツオは鰹節に加工され,田子節として有名である。景勝地堂ヶ島や堂ヶ島温泉(セッコウ泉,32℃),洋ランセンターがあり,西伊豆観光の中心地となっている。
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日本大百科全書(ニッポニカ) 「西伊豆」の意味・わかりやすい解説

西伊豆(町)
にしいず

静岡県東部、賀茂郡(かもぐん)にある町。伊豆半島の西海岸のほぼ中央に位置する。1956年(昭和31)田子(たご)、仁科(にしな)の2村が合併して町制改称。2005年(平成17)賀茂村を合併。国道136号が海岸沿いに通じる。町の大部分は急峻(きゅうしゅん)な山地で、国道と仁科川沿いにわずかに耕地と集落が存在する。冬の西風は厳しいが温暖で、平地と段々畑にキンギョソウ、マーガレットなどの花卉(かき)栽培が盛ん。田子港を基地としてカツオ一本釣り、マグロ延縄(はえなわ)漁を行う。かつお節は江戸時代以来の特産。仁科港はテングサ、貝類の沿岸漁業を行う。国指定天然記念物天窓洞のある堂ヶ島(どうがしま)、景勝地黄金崎(こがねざき)や海水浴場、温泉に恵まれ、旅館、民宿が多い。洞窟(どうくつ)巡りの遊覧船やガラスのテーマパーク「黄金崎クリスタルパーク」がある。海岸部一帯は国の名勝「伊豆西南海岸」に指定される。面積105.54平方キロメートル、人口7090(2020)。

[川崎文昭]

『『西伊豆町誌』全4巻(1994~2000・西伊豆町)』


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百科事典マイペディア 「西伊豆」の意味・わかりやすい解説

西伊豆[町]【にしいず】

静岡県賀茂郡,伊豆半島西岸の町。半島中でも特に景色のよい堂ヶ島海岸があり,西伊豆観光の拠点となっている。堂ヶ島天窓洞(天然記念物)は仙洞と呼ばれ外海と通じる。天然の良港田子港はカツオ遠洋漁業基地で伊豆節(かつお節)の本場。花卉(かき)の栽培も行われている。2005年4月賀茂郡賀茂村を編入。105.54km2。9469人(2010)。

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