仇野(読み)あだしの

精選版 日本国語大辞典 「仇野」の意味・読み・例文・類語

あだし‐の【仇野・徒野・化野】

  1. [ 1 ] 京都市右京区嵯峨、小倉山のふもとにあった葬送の地。中古、火葬場があり、東山の鳥辺山と併称された。法然房源空が常行念仏の道場とした念仏寺があり、その墓所に、周辺から出土の七五〇〇もの地蔵や小石塔が明治時代に集められ、無縁仏として祀られる。八月の地蔵盆には千灯供養を行なう。
  2. [ 2 ] 〘 名詞 〙 転じて、一般に墓地、墓所。また、「仇野の露」「仇野の霜」など、無常なところ、人生のはかないたとえにいう。あだしがはら。
    1. [初出の実例]「あだしのの風になびくな女郎花われしめゆはん道遠くとも」(出典:源氏物語(1001‐14頃)手習)

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「仇野」の意味・わかりやすい解説

仇野
あだしの

京都市西部、右京区嵯峨(さが)の小倉(おぐら)山北東麓(ろく)一帯総称。化野、徒野などとも書く。『徒然草(つれづれぐさ)』にも「あだし野の露消ゆる時なく……」と記された昔の風葬の地と伝えられ、法然(ほうねん)房源空が常行念仏の道場とした化野念仏寺がある。その境内には、周辺から出土した7500もの地蔵や小石塔が明治時代に集められ、無縁仏として祀(まつ)られている。8月の地蔵盆には千灯供養(せんとうくよう)が行われる。

織田武雄

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