仕事と日々(読み)シゴトトヒビ(その他表記)Erga kai Hēmerai

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「仕事と日々」の意味・わかりやすい解説

仕事と日々
しごととひび
Erga kai Hēmerai

ギリシアの詩人ヘシオドス教訓叙事詩。「農と暦」の意味。 828行から成る。父の遺産の独占をねらう弟ペルセスへの警告から始めて,プロメテウスパンドラの神話や,金,銀,銅,英雄,鉄の人間5代説や,たかとうぐいすの寓話を用いて正義と悪の問題を論じ,労働の必要と正しさ,ゼウスの正義の勝利を説いてから本論に入り,農作業の適切な時期を星座の運行と鳥獣の動きで教え,農具,飼育,休養衣服などについて指示を与え,航海に関する簡単な忠告をつけ加え,さらに結婚,友情,禁忌など社会的宗教的生活についても教訓を並べ,最後におもに農事に関して暦の吉凶を説く。しかしこの最後の部分は偽作の疑いもある。

出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報

世界大百科事典(旧版)内の仕事と日々の言及

【農と暦】より

…前700年ころのギリシアの詩人ヘシオドスの作品。《労働と日々》《仕事と日々》《労働と暦日》などの訳題もある。詩型・措辞はホメロス叙事詩に酷似するが,内容は,人間が現実社会において踏み行うべき正義の道を,神話からのたとえ話や格言集をまじえつつ,農事暦の形を用いて語る教訓詩828行からなっている。…

【労働】より

…つまり苦労して働き,その結果として疲れたり病気になったりするという,双方の間をゆれうごく言葉であったといえる。ギリシア語で労働することをあらわすponeinが,つらい仕事をするというニュアンスをもつこともよく例にひかれるが,労働の情景を記述した最古の古典の一つとされるヘシオドスの《仕事と日々》が,〈むかし人間の種族は禍いや辛い労働をゆめにも知らず,……痛ましい病などにも罹らずに,〉(真方敬道訳)と,労働を病や禍いと等置しているのは,漢字の〈労〉の用例とたいへん似ていて興味深い。もともと労働とは,人間が生きていくための必要からやむをえず行わねばならない,つらく苦しい,疲れる,そして時としては病をもよびこみかねない,肉体的な活動のことであったといえよう。…

※「仕事と日々」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

今日のキーワード

苦肉の策

敵を欺くために、自分の身や味方を苦しめてまで行うはかりごと。また、苦しまぎれに考え出した手立て。苦肉の謀はかりごと。「苦肉の策を講じる」...

苦肉の策の用語解説を読む

コトバンク for iPhone

コトバンク for Android