伊仙(読み)いすぃんあつかい

日本歴史地名大系 「伊仙」の解説

伊仙
いすぃんあつかい

近世、面縄うんのー間切(面南和間切)西部に置かれた行政区分。所属した村は九ヵ村で、現在の伊仙町西部を占める。元禄一四年(一七〇一)には面南和間切の伊仙与人の白満、享保五年(一七二〇)には前幸が鹿児島に登城している。同二〇年伊仙の黍横目に佐栄久ら二人が任じられているが、これは徳之島で初めての黍横目配役であった。天保九年(一八三八)の伊仙の人数三千一人。同一二年砂糖の大坂表での値下がりに伴い黍見廻重役を増員しており、伊仙村浅間あざま村・阿権あぐん村・犬田布いんたぶ村の各一人となっている(以上「徳之島前録帳」)

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「伊仙」の意味・わかりやすい解説

伊仙(町)
いせん

鹿児島県大島郡にある町。徳之島の南部を占める。1962年(昭和37)町制施行。亜熱帯気候で、隆起サンゴ礁が発達している。中世琉球王国(りゅうきゅうおうこく)に属していたが、近世初頭の島津氏の侵略以後は薩摩(さつま)藩領。藩は過酷な黒糖専売政策をとり、それに抵抗した百姓一揆(いっき)「犬田布騒動(いんたぶそうどう)」(1864)が起こった。現在もサトウキビ栽培が基幹産業奄美(あまみ)諸島最大の生産地。切り立つ海食崖(がい)の犬田布岬や、未開発を含めて多くの鍾乳洞(しょうにゅうどう)があり、観光資源が豊富。なお、集落形態は県道沿いを除き散村である。面積62.71平方キロメートル、人口6139(2020)。

[平岡昭利]

『『伊仙町誌』(1978・伊仙町)』


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改訂新版 世界大百科事典 「伊仙」の意味・わかりやすい解説

伊仙[町] (いせん)

鹿児島県大島郡,徳之島南西部を占める町。人口6844(2010)。北部は犬田布(いぬたぶ)岳(417m)を中心とする山地で,南部は隆起サンゴ礁よりなる海岸段丘が発達する。段丘面上は基幹産業のサトウキビ畑がひろがるが,水に乏しく,典型的な散村となっている。島の北西部を占める天城町と並んで奄美地方最大のサトウキビ生産地で,県農業試験場徳之島糖業支場(現,鹿児島県農業開発総合センター徳之島支場),大型製糖工場がある。近年は畜産,野菜,バレイショなどをとり入れた複合経営が進んでいる。海岸線はサンゴ礁の奇岩が多く変化に富み,奄美群島国定公園の一部で,犬田布岬,喜念浜,銀河洞(鍾乳洞)など見どころが多い。
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百科事典マイペディア 「伊仙」の意味・わかりやすい解説

伊仙[町]【いせん】

鹿児島県大島郡,徳之島南部の町。サトウキビ栽培を主とし,大規模の製糖工場,県立農業試験場徳之島糖業支場,サトウキビ畑地灌漑(かんがい)用のダムがある。62.71km2。6844人(2010)。

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