伊仙町(読み)いせんちよう

日本歴史地名大系 「伊仙町」の解説

伊仙町
いせんちよう

面積:六二・七〇平方キロ

徳之島の南東部に位置する。西から南にかけては東シナ海に臨み、北部は天城あまぎ町、北東部は徳之島町と接する。町域は北に犬田布いぬたぶ(四一七・四メートル)がある。ほかは標高一〇〇―二〇〇メートル級の山地で、これらを水源とする上成うわなる川・阿権あごん川・鹿浦しかうら川・面縄おもなわ川・ほん川などが南方または西方に流れる。海岸部のうち西部の犬田布岬の辺りは浸食崖が屹立し、東部の喜念きねん・面縄などの一帯では砂丘や隆起珊瑚礁が発達しており、沖合に裾礁が現れ、遠浅のリーフが広がる。鍾乳洞が各所にみられる。これらを含めた一帯は奄美群島国定公園となっている。海岸沿いに主要地方道の伊仙―亀津かめつ―徳之島空港線があり、また県道の伊仙―松原まつばら花徳けどく線・糸木名いときな―亀津線が通る。

伊仙町域は徳之島で遺跡が最も多く、その大半は南部の海岸沿いに集中している。なかでも喜念貝塚・佐弁さべん貝塚・面縄貝塚群・犬田布貝塚、カムィヤキ古窯跡群などは著名である。喜念のムデナウにある喜念原始墓は隆起珊瑚礁の崖下に位置し、昭和一〇年(一九三五)の調査により各種の貝製装飾品・牙製垂飾品・人骨・土器などが出土している。

出典 平凡社「日本歴史地名大系」日本歴史地名大系について 情報

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「伊仙町」の意味・わかりやすい解説

伊仙〔町〕
いせん

鹿児島県南部,奄美群島徳之島南部の町。1962年町制。主として隆起サンゴ礁の段丘上にあり,サトウキビを中心に園芸作物栽培と,ウシブタ飼育が行なわれる。闘牛が盛ん。南東部の喜念浜,西端の犬田布岬(いんたぶみさき)など,サンゴ礁に由来する海岸は特に風光に優れ,西部と南東部の海岸は大部分奄美群島国立公園に属する。また,数多くの鍾乳洞がある。面縄(おもなわ)には貝塚風葬跡がある。面積 62.71km2人口 6139(2020)。

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