伊藤小左衛門(5代)(読み)いとう・こざえもん

朝日日本歴史人物事典 「伊藤小左衛門(5代)」の解説

伊藤小左衛門(5代)

没年:明治12.5.21(1879)
生年:文政1.12.18(1819.1.13)
幕末維新期の企業家。5代伊藤小左衛門尚長。三重県三重郡室山村(四日市市)で代々味噌醸造業を営む豪農長男。幕末の開港に際し生糸と茶の輸出が有望とみて,文久1(1861)年に茶の輸出で巨利を得,翌年製糸業に乗り出した。創業以来十数年技術が未熟なため損失を重ねたが,富岡製糸場への子女の派遣,同製糸場の器械,技術の模倣改良,水質の改善などにより,ついに明治11(1878)年パリ万国博で銅牌を得るまでになった。すさまじいまでの企業家精神に富み,また地元の住民のために官に対して臆せず主張する剛毅の人であった。

(桜谷勝美)

出典 朝日日本歴史人物事典:(株)朝日新聞出版朝日日本歴史人物事典について 情報

デジタル版 日本人名大辞典+Plus 「伊藤小左衛門(5代)」の解説

伊藤小左衛門(5代) いとう-こざえもん

1819*-1879 幕末-明治時代実業家
文政元年12月18日生まれ。伊勢(いせ)室山村(三重県四日市市)で家業の味噌(みそ)・醤油(しょうゆ)醸造業をいとなみ,のち酒造業に進出。茶,生糸の将来性に着眼,茶の輸出に成功。明治7年動力機械による製糸工場を創設した。明治12年5月21日死去。62歳。名は尚長。

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