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低体温法 ていたいおんほうhypothermia

翻訳|hypothermia

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典の解説

低体温法
ていたいおんほう
hypothermia

体温麻酔ともいう。全身麻酔下に生体を冷却し,代謝を下げることによって組織の酸素消費量を減少させる方法心臓大血管,脳などの大手術を安全に行う目的で用いられる。冷却方法には,氷嚢,冷却用ブランケット,氷水槽などによる体表面冷却法や,人工心肺を用いる体外循環冷却法がある。 30℃の軽度低体温では 10分内外,20℃の超低体温では約1時間の全身血流遮断が可能であり,超低体温法は特に乳児の心臓手術に有用である。

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大辞林 第三版の解説

ていたいおんほう【低体温法】

全身を冷やして体温を人為的に下げて細胞の活動を低下させ、重要臓器の低酸素状態に対する耐性を高める方法。主に心臓・大血管・脳などの手術の際用いる。

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日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

低体温法
ていたいおんほう

重要な臓器や組織の酸素需要を減らす目的で体温を下げる方法をいう。このようにすれば、循環状態が悪化しても生体は耐えられるからである。低体温の程度によって、30℃までを軽度低体温、25℃までを中等度低体温、20℃までを高度低体温、それ以下を超低体温と分けている。体温が下がるほど循環遮断などによる酸素欠乏に耐えられるわけである。
 冷却方法は、患者の体をビニル布で包んで氷水につける方法、患者を冷水の通る管が入っている冷却ブランケットで包む方法、体腔(たいくう)内に氷水を入れる方法、あるいは血液を外に導いてこれを冷却し、ふたたび冷却した血液を体の中に導いてやる方法などがある。いずれにしても、患者をいきなり冷却すると、体温下降を防ごうとする防御反応である、ふるえがきてしまう。これを予防するために、あらかじめ全身麻酔を行っておく必要がある。このようにして冷却を始めると、体温下降とともに酸素需要も減少し、20℃では、酸素需要量は最初の20%程度となる。血圧もしだいに低下し、脈拍数も少なくなってくる。呼吸数も減り、20℃以下では脳波も平坦(へいたん)となる。各温度における安全血流遮断時間は、30℃で10分、25℃で30分、20℃で60分とされている。
 低体温の必要がなくなれば、ただちに加温操作に移るが、これには冷水のかわりに温水を用いる。なお、冷却・加温に際しては、生体の反応をできるだけ抑えておくために、全身麻酔や自律神経遮断薬などを適宜用いる。低体温法を用いる場合としては、心臓内の手術と、脳外科で脳に行く血流を一時遮断しなければならないときがおもであるが、ほかに、脳外傷や心停止後におこる脳浮腫(ふしゅ)の予防、高熱症の治療といった治療的使用があげられる。[山村秀夫・山田芳嗣]

出典|小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について | 情報 凡例

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