改訂新版 世界大百科事典 「佐世保湾」の意味・わかりやすい解説
佐世保湾 (させぼわん)
長崎県北部,佐世保市の南に広がる沈水によって生じた深い湾入。佐世保港もほぼ同区域を占める。水面の面積は3960万m2あり,日本の主要港湾の中でも傑出した広さをもつ。また水深9m以上の水域は2574万m2におよび,大型艦船の航行に支障がない。湾口は市街地側から南に延びる俵ヶ浦半島の先端高後崎(こうござき)と,これに相対する西彼杵(にしそのぎ)半島の北端寄船鼻(よりふねばな)との間の幅がわずか800mにすぎず,加えて周囲は数百mの高さの山地で囲まれて風波から保護され,あわせて外海からの視野も遮断されている。このような天然の良港佐世保は,1886年軍港に指定され,その後のあいつぐ戦争で軍港施設は拡充されていった。第2次世界大戦後は貿易港,漁港として再出発に努めたが,朝鮮戦争の勃発に伴い,港湾施設の大部分をアメリカ軍に接収され,のちに海上自衛隊も利用するにいたり,湾内漁業は活発でない。湾奥は早岐(はいき)瀬戸と日本三大急潮の一つである針尾瀬戸によって大村湾に通じている。
執筆者:竹内 清文
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報