余程(読み)よっぽど

精選版 日本国語大辞典「余程」の解説

よっ‐ぽど【余程】

(「よきほど」の変化した語。「余程」は江戸時代以降のあて字)
[1] 〘形動〙
① 程度や数量が適当するさま。よい程度であるさま。ほどよいさま。ちょうどよいさま。
※太平記(14C後)一四「敵八十万騎に、御方(みかた)五百余騎、吉程(ヨッホト)の合ひ手也」
※六物図抄(1508)「冬至の時分がさむい者ぢゃほどに其時分に初夜に五条を著れはよっほど也」
適度を越えてかなりな程度であるさま。ずいぶん。たいそう。相当。
※狂言記・酢薑(1660)「いやはや、是もよっほとの、けいづでおぢゃる」
③ 度を越えて十分すぎるのでもうやめたい、やめてもらいたいさま。大概。いいかげん。
※浄瑠璃・根元曾我(1698頃)三「義理も仁義もよっぽどで措いたがよい」
[2] 〘副〙
① よい程度に。ほどよく。ちょうどよく。
② ほとんどそれに近いさま。おおよそのところ。だいたい。おおかた。
※史記抄(1477)五「昭襄王からはよっほと百余年であらうぞ」
③ かなりの程度であるさま。ずいぶんに。相当に。
※春鑑抄(1629)仁「この四の悪しき覚悟のなきは、よっぽど仁の道なれども、まだ向上にはいたらぬぞ」
※坊っちゃん(1906)〈夏目漱石〉一「汽車が余っ程動き出してから〈略〉窓から首を出して」
[語誌](1)中世以降の文献に現われ、意味的な関連から「良き程」の変化したものと考えられる。室町時代の抄物資料では「えっぽど」の形も見られる。「よほど」の形も中世から見られるが、これは、「よっぽど」の促音が、ヤッパリ⇔ヤハリ、モッパラ⇔モハラ等の対に類推して強調の表情音ととらえられたところから、その非強調形として「よほど」の語形が生まれたものと考えられる。近世以降現代に至るまで「よっぽど」が強調ニュアンスを伴うのに対して「よほど」は平叙的である。
(2)「よっぽど・よほど」の意味は、古くは「良い程、良い頃合、適度」という本来の「よきほど」の意味を保っているが、近世に入ると次第に「適度を越えたかなりの程度」の意になっていく。

よ‐ほど【余程】

(「よきほど」または「よいほど」の変化した語。「余程」は江戸時代以降のあて字)
[1] 〘形動〙
① ほどよいさま。ちょうどよいさま。
※巨海代抄(1586‐99)下「悟らぬ者の手裡に在るまでよほどに放下せよだぞ」
② かなりな程度であるさま。相当。ずいぶん。
※漢書帝紀抄(1477‐1515)四「鼻のつきやうも、よほとによう似合也」
[2] 〘副〙
① よい程度に。ほどよく。頃合に。
※玉塵抄(1563)三二「迦楼の色のをかけて大路持鉢してとをらるるをせいは仏とよほと同ほどなり」
② かなり。相当。ずいぶん。たいそう。非常に。
※玉塵抄(1563)一八「悟のよほどいた人の衣の上に花がたまらいでちりてをちたぞ」
[語誌]→「よっぽど」の語誌

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報

デジタル大辞泉「余程」の解説

よ‐ほど【余程】

《「よきほど」の音変化。「余」は、江戸時代以降の当て字
[形動][文][ナリ]
よっぽど1」に同じ。「余程な事情があったのだろう」
よっぽど2」に同じ。
「花の跡けさは―の茂りかな/子珊」〈炭俵
[副]
よっぽど1」に同じ。「ゆうべは余程飲んだらしい」
よっぽど2」に同じ。「余程話してしまおうかと思った」

出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例

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