作事始(読み)さくじはじめ

精選版 日本国語大辞典 「作事始」の意味・読み・例文・類語

さくじ‐はじめ【作事始】

  1. 〘 名詞 〙 作事を始めるときに行なう儀式。特に、室町幕府年中行事の作事始は、正月一一日に、普請始めについで行なった。御作事始
    1. [初出の実例]「御作事始日、今月十一日、時午未」(出典:在盛卿記‐長祿二年(1458)正月六日)

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改訂新版 世界大百科事典 「作事始」の意味・わかりやすい解説

作事始 (さくじはじめ)

造作関係の仕事始めの儀式。古くは室町幕府の年中行事として知られ,御評定始めの儀式と同じ正月11日であった。1540年(天文9)ころの《年中恒例記》や伊勢貞久の《公方様正月御事始之記》によると当日は御作事奉行,御普請奉行,御作事,右筆らが庭上に伺候し,畠山より被管人6人が出て小袖の上に白の帷子を着,かちんに染めた袴をはき,もっこに砂を入れ,御殿の正面にすえ,砂を御庭におく。御庭の者が5~6人出て砂をひろげその上をほうきではき,材木を飾り曲尺をあてて墨を引く。つぎに冠を着し黒装束大工6~7人が手斧を持って三々九木をつくる。大工には馬を下され奉行たちに太刀を賜る。あるいは千疋下賜のこともある。これらの奉行は恒例の場合は番衆中より選ばれ主に山名・畠山方から出されるが,とくに大規模な臨時の造作については三管四職中より総奉行を命ぜられ,応仁の乱後は恒例臨時に限らず畠山氏に限られた。
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