虚偽のうわさを流し,または偽計を用いて人の信用を毀損する罪(刑法233条)。刑は3年以下の懲役50万円以下の罰金。例えば,同業者が破産寸前である旨の虚偽の内容の文書を取引先に郵送することなどがこれにあたる。ここでいう信用とは,経済的信用,すなわち人(自然人のほか,法人その他の団体を含む)の支払能力または支払意思に関する他人の信頼であると解されている。したがって,信用毀損罪は,信用という人に関する社会的評価を失墜させるおそれのある行為を行うことによって成立する点で名誉毀損罪と類似した性質を有しているが,もっぱら経済的な評価に対する侵害を対象としていることから名誉毀損罪とは区別される。また,信用の毀損によりその人の業務が妨害されることも多く,この場合には,信用毀損罪のほかに,業務妨害罪(同条)も成立するかは争われている。
執筆者:山口 厚
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