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名誉毀損 めいよきそんdefamation

翻訳|defamation

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典の解説

名誉毀損
めいよきそん
defamation

人の社会的評価をそこなう行為で,不法行為となり (民法 710,723) ,また犯罪として処罰対象となる (刑法 230) 事象。名誉の本質として,(1) 他者や自己の評価をこえた真実の名誉というべき内部的名誉,(2) 人の社会的評価である外部的名誉,(3) 主観的自己評価である名誉感情とに区別されるが,刑法や民法が保護する「名誉」とは,このうち外部的名誉をさすというのが通説判例である。

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世界大百科事典 第2版の解説

めいよきそん【名誉毀損】

西洋では,ローマ法は,はじめ名誉を保護しなかったが,のちに,都市生活の発展によって社会的・精神的利益が重視されるに伴い,これを保護するようになった。そこでは,国家法で承認された地位が,名誉として重視されたといわれる。制裁はおもに損害賠償であったが,やがて刑事制裁にも拡大された。名誉をとくに重視したのはゲルマン人であるが,彼らは,道徳的に非難されないことを重視した。個人に対する非難は同時に彼の氏族に対する非難・攻撃と観念され,氏族による復讐がなされた。

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大辞林 第三版の解説

めいよきそん【名誉毀損】

他人の名誉を傷つけ、損害をあたえること。 (1) 民事上は、人の品性・名声・信用などについての社会的評価を違法に侵害すること。不法行為となる。 (2) 刑事上は不特定または多数の人が知ることが可能な状態で、真偽にかかわらず、なんらかの具体的な事実を摘示して、その人の品性・能力などについての社会的評価を引き下げること。名誉毀損罪の対象となる。

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日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

名誉毀損
めいよきそん

各人がその品性、徳行、名声、信用などにつき一般の人から受けるべき声価(名誉)を侵害する行為、つまり、社会的評価を低下させる行為である。[淡路剛久]

民法上の名誉毀損

故意または過失によって人の名誉を害すると、民法上、不法行為が成立する(同法709条、710条)。たとえば、新聞や雑誌にある者の名誉を毀損する記事(スキャンダルなど)を載せた場合には、発表者の、あるいは発表者と編集者との不法行為の成立が問題となるが、一般に、その報道が公共性をもち、かつ真実が述べられている場合(このような証明を真実性の証明という)には、違法性がなくなると考えられている。死者の名誉毀損が認められるべきかが問題になることがあるが、判例はこれを認めず、遺族ないし近親者の名誉毀損あるいは敬愛追慕の情の侵害として処理している。名誉毀損を受けた場合、被害者は損害賠償とともに、あるいは損害賠償にかえて、名誉を回復するのに適当な処分(たとえば、新聞紙上に謝罪広告を掲載すること)を求めることができる(同法723条)。[淡路剛久]

刑法上の名誉毀損

現行刑法は、第二編第34章の「名誉に対する罪」として、公然と事実を摘示し、人の名誉を毀棄する罪(同法230条1項)と侮辱罪(同法231条)とをあわせて規定している。社会生活を営むうえで社会的な評価が重要な意義をもつところから、刑法は社会的評価としての名誉を個人の人格的法益として保護しているのである。ただ、社会的評価のうち、支払意思や支払能力のような経済的評価については、別に信用毀損罪(同法233条前段)が設けられているので、これを毀損する場合は本罪の対象から除かれる。したがって、本罪の「名誉」は、上記の「信用」を除く人に対する社会的評価、たとえば品性、家格、各種能力等がこれに含まれる。なお、侮辱罪については、その保護法益が本罪と同様に社会的評価(外部的名誉)であるか名誉感情(自尊心、プライド)であるかが争われており、通説・判例は外部的名誉と解している。
 本罪の行為は公然と事実を摘示することを要するが、「公然」とは不特定または多数人の認識しうる状態をいい、「事実を摘示する」とは人の社会的評価を低下させるように具体的に事実を告げることをいう。また、前記の事実は真実か否かを問わないし、公知の事実であってもよい。ただし、死者の名誉毀損に限り、「誣罔(ぶもう)」に出た場合、すなわち虚偽の事実を摘示する場合に限られる(刑法230条2項)。本罪に「名誉を毀損」するとは、人の名誉を現に低下させることを要せず、その危険を生じさせることで足りる(危険犯)。
 ところで、現行憲法における表現の自由や民主主義の基礎である「国民の知る権利」に対応して、1947年(昭和22)の刑法一部改正により、「事実の証明」に関する第230条の二が新設された。本条1項によれば、かりに第230条1項の名誉毀損罪にあたっても、(1)「公共の利害に関する事実に係り」(事実の公共性)、(2)「その目的が専(もっぱ)ら公益を図ることにあったと認められる場合」(目的の公益性)、(3)「事実の真否を判断し、真実であることの証明があったとき」(真実性の証明)処罰しないものとされている。さらに、本条2項は、摘示された事実が「公訴が提起されるに至っていない人の犯罪行為に関する事実」であれば、前述の3要件のうち事実の公共性が、また本条3項は、「公務員又は公選による公務員の候補者に関する事実に係る場合」は事実の公共性と目的の公益性がそれぞれ存在するものとされている。[名和鐵郎]

国際私法上の名誉毀損・信用毀損

日本の国際私法典である「法の適用に関する通則法」(平成18年法律第78号)第19条によれば、他人の名誉または信用を毀損する不法行為によって生ずる債権の成立および効力については、被害者の常居所地法(法人等の場合には主たる事業所の所在地法)によるとされている。このルールは、その地が被害者の名誉や信用が存在し、重要な地であると考えるとともに、結果発生地が多数の国に広がる場合に、それぞれの国での損害について各国法を適用することは煩雑であることを理由としている。
 名誉または信用の毀損による不法行為の準拠法はこのように一応定められているものの、それが確定的に準拠法とされるわけではなく、不法行為の当時に当事者が法を同じくする地に常居所を有していたとか、当事者間の契約に基づく義務に違反して不法行為が行われたといった事情などに照らして、明らかにより密接に関係する他の地があるときは、当該他の地の法によるとされている。これは、最密接関係地法の適用を確保しようとする立法意思の表れであるが、不法行為の準拠法が明確にはわからず、たとえば和解交渉の土俵が定まらないというデメリットがある。
 不法行為の当事者は、不法行為後であれば、合意により不法行為の成立・効力の準拠法を変更することができる(法の適用に関する通則法21条本文)。ただし、その準拠法変更が第三者の利益を害することとなるときは、その変更をその第三者に対抗することができない(同法21条但書)。不法行為債権も財産権であることから、実質法上、当事者による処分が認められるのと同様に、国際私法上も、第三者の権利を侵害しない限り、準拠法の変更を認めてよいとの考えに基づくものである。しかし、この変更は黙示的にも可能であり、本来の準拠法がA国法であっても、和解交渉や訴訟において、両当事者がB国法を前提とする主張をしていると準拠法はB国法に変更されたとされる可能性があり、その変更によって不利益を被ることになる当事者から錯誤による変更であるとの主張が出てくるといった混乱も予想される。また、弁護士が代理しているとすれば、弁護過誤になるおそれもあることから、立法論としての批判もある。
 不法行為は公益とのつながりが深いことから、外国法の適用が公序を害するおそれがあるとされ、法の適用に関する通則法第22条は、外国法が準拠法とされ、不法行為の成立が認められるときであっても、日本法上も不法行為になるのでなければ損害賠償等の請求は認めず(同法22条1項)、また、日本法上も不法行為となるときであっても、日本法上認められる損害賠償等しか請求することができないとされている(同法22条2項)。この規定により、日本のマスメディアは外国の政治家等に関する批判的な言論について、その政治家等の常居所地法によれば不法行為が成立するときであっても、日本法上適法とされる限りにおいて、問題とされることはないことになる。[道垣内正人]

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世界大百科事典内の名誉毀損の言及

【讒謗律】より

…全8条。〈讒謗〉とは,名誉毀損(きそん)を意味する〈讒毀〉と侮辱を意味する〈誹謗(ひぼう)〉をまとめた言葉(1条)。近代国家には個人の名誉保護の立法が必要だとした小野梓らのイギリス法研究グループ〈共存同衆〉の提出した建議を受けて,制定されたものとされる。…

【誹毀法】より

…誹譏法とも書く。文書による名誉毀損の取締法をさし,印刷物,とくに新聞や雑誌の発達および言論出版の自由の発達と深くかかわりながらイギリスで発展した。15世紀ころから近代初期にかけては,政治的誹毀の取締りが中心で,国王に対する誹毀は反逆罪の一つとされていたが,18世紀に入ると,こうした政治的誹毀を〈治安妨害的誹毀seditious libel〉という特別の刑事犯罪とみる考え方が現れた。…

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