偏む(読み)コズム

デジタル大辞泉 「偏む」の意味・読み・例文・類語

こず・む〔こづむ〕【偏む】

[動マ五(四)]
筋肉がかたくなる。凝る。「首筋が―・む」
心が重くなる。気がめいる。
「墓まいりって奴は…一人二人だとわるく料簡が―・んでいけねえ」〈万太郎春泥
競馬で、肩の筋肉が硬直して、馬が釣り合いのとれない歩き方をする。「調教失敗か、今日は―・んでいる」
馬がつまずいて倒れかかる。〈日葡
1か所にかたよって集まる。ぎっしり詰まる。
「皆仰山ななりぢゃにって、一倍舟が―・む」〈伎・𨉷講釈

出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例

精選版 日本国語大辞典 「偏む」の意味・読み・例文・類語

こず・むこづむ【偏】

  1. 〘 自動詞 マ行四段活用 〙
  2. 馬がつまずいてころびかける。馬が倒れる。→かいこずむ
    1. [初出の実例]「馬のしりさまにつつゐるをこつむといへり如何」(出典:名語記(1275)八)
  3. 一か所にかたよって集まる。ぎっしりつまる。〔名語記(1275)〕
    1. [初出の実例]「露置し屋根にや縄を張ぬらん こつめる町は物ほしもなし〈貞室〉」(出典:俳諧・玉海集追加(1667)付句下)
  4. 筋肉が凝(こ)る。
  5. 心が重くなる。気が沈む。
    1. [初出の実例]「墓まゐりって奴は〈略〉一人や二人だとわるく料簡がこずんでいけねえ」(出典:春泥(1928)〈久保田万太郎〉夕焼雲)

偏むの補助注記

( 1 )各分肢の意味用法から、同語源と判断しかねるものもあり判然としない。
( 2 )古くは清音「こつむ」であった可能性も強い。


かた‐ず・む【偏】

  1. [ 1 ] 〘 自動詞 マ行四段活用 〙 一つのところ、また一方へかたよる。せまくなる。かたずる。
    1. [初出の実例]「太子の東宮にかたずみていらしむわ潜龍泥蟠の位ぞ」(出典:玉塵抄(1563)一九)
  2. [ 2 ] 〘 他動詞 マ行下二段活用 〙 一方に寄せる。かたよせる。
    1. [初出の実例]「急に大勢顕れ出で、手込手込に片つめて、何の苦もなく殺却す」(出典:天馬異聞(1637‐38))

偏むの補助注記

「ずむ」のかなづかい未詳。「俚言集覧」には「偏づむ ツムは詞也カタツマル也マルの反ムなり」とあり、「詰む」と考えているが「黒ずむ」などと同様の「ずむ」とも見られる。


こつ・む【偏】

  1. 〘 自動詞 マ行四段活用 〙こずむ(偏)

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