デジタル大辞泉 「健よか」の意味・読み・例文・類語 すく‐よか【▽健よか】 [形動][文][ナリ]1 すくすくと育つさま。丈夫であるさま。すこやか。「健よかに育つ」2 心がしっかりしているさま。「この内の御心いと―に」〈栄花・松の下枝〉3 きまじめであるさま。律義。「あの人がらも、いと―に、世の常ならぬ人にて」〈更級〉4 そっけないさま。無愛想。「―に言ひて、物ごはきさまし給へれば」〈源・若紫〉5 固くごわごわしているさま。「中紙の―なるに包みて」〈宇津保・蔵開下〉6 衣服がきちんとして折り目正しいさま。「御装束―に、いとうるはしくて」〈栄花・根合〉7 険しいさま。「―ならぬ山のけしき」〈源・帚木〉 出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例 Sponserd by
精選版 日本国語大辞典 「健よか」の意味・読み・例文・類語 すく‐よか【健よか】 〘 形容動詞ナリ活用 〙 ( 「よか」は接尾語。後世「すぐよか」とも )① からだつきがしっかりしているさま。がっしりしているさま。[初出の実例]「女御の君、かきいだき奉りて見せ奉り給ふ。大宮見給へば、いと大きにて、首もすくよかなり」(出典:宇津保物語(970‐999頃)蔵開上)② 健康であるさま。元気であるさま。しゃんとしているさま。[初出の実例]「昼は日一日、寝をのみ寝暮らし、夜はすくよかに起きゐて」(出典:源氏物語(1001‐14頃)明石)③ ごつい感じであるさま。また、たけだけしいさま。[初出の実例]「いとすくよかなるゐ中侍めく物、太刀を抜きて走り寄るままに」(出典:増鏡(1368‐76頃)一三)④ 心が強くしっかりしているさま。毅然(きぜん)としてたじろがないさま。[初出の実例]「身づから、はかばかしく、すくよかならぬ心ならひに」(出典:源氏物語(1001‐14頃)夕顔)⑤ 性質や行動がきまじめであるさま。なまめかしさや風流なところがなく、律義(りちぎ)なさま。剛直であるさま。[初出の実例]「されど、すくよかなるは、『夜ふけぬ。御門あやふかなり』などわらひて出でぬるもあり」(出典:枕草子(10C終)一七九)「吾妻人は、我かたなれど、げには心の色なく、情おくれ、ひとへにすぐよかなるものなれば」(出典:徒然草(1331頃)一四一)⑥ 無愛想で、とりつくしまもないさま。そっけないさま。[初出の実例]「かのをばに語らひ侍りて、きこえさせむと、すくよかに言ひて、物ごはきさまし給へれば」(出典:源氏物語(1001‐14頃)若紫)⑦ 紙などが、かたく、ごわごわしているさま。[初出の実例]「ちうしのすくよかなるに包みて」(出典:宇津保物語(970‐999頃)蔵開下)⑧ 山などがけわしいさま。険阻であるさま。[初出の実例]「すくよかならぬ山のけしき、木深く世離れてたたみなし」(出典:源氏物語(1001‐14頃)帚木)健よかの語誌( 1 )通常よりもかたくこわばっている意を表わし、女性的な柔らかさをいう「なよよか」とは対をなす。「すく」は、「すくすくし」「すくむ(竦)」「きすぐ」などと同根か。( 2 )中古仮名文献の例では、男性的な体格・言動・人柄についていう場合が多く、女性については健康さや心の強さについていう。中古末には「すくやか」の語形も出て、身体に病気がなく健康な状態を意味する語となり、「すこやか」につながる。 出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報 | 凡例 Sponserd by