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光異性化 ひかりいせいかphotoisomerization

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典の解説

光異性化
ひかりいせいか
photoisomerization

ある分子が光 (光量子。通常 hν で表わす。 hプランク定数,νは光の振動数) を吸収することによって異性体に変る現象。よく知られているものにマレイン酸 (シス形 ) とフマル酸 (トランス形 ) の例がある。燃焼熱を両化合物について比較すると,フマル酸 ( 1340Jmol-1 ) のほうがマレイン酸 ( 1369Jmol-1 ) より安定で,マレイン酸からフマル酸への変化は起りやすい。マレイン酸を 200℃に加熱することにより,また常温で酸の触媒作用によって,あるいはマレイン酸の水溶液に 18℃で紫外線を当てることによって変化が起る。フマル酸からマレイン酸への変化は熱的,化学的にも起るが,40~50℃で紫外線を当てると約 75%がマレイン酸に変化して平衡に達する。類似の光異性化反応にスチルベン (トランス形) とイソスチルベン (シス形) 間の反応がある。これらの光異性化の反応機構は次のように説明されている。分子が光量子を吸収することによって二重結合のπ電子が励起され,分子はエネルギーの高い状態をとる。その際,二重結合のうちπ結合が切れて炭素-炭素結合が 90度回転した状態がエネルギー的に安定となる。この状態が励起エネルギーを失う時にシス形かトランス形になる。生成するシス形とトランス形の比率は,原則的にはシス形,トランス形それぞれの基底状態のエネルギーの相対的違いによるが,他の要因も加わり一概にはいえない。光異性化の他の例として o -ニトロベンズアルデヒドのアセトン溶液中に比較的波長の長い紫外線 (3660Å) を照射すると o -ニトロソ安息香酸に異性化する反応が知られている。

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世界大百科事典内の光異性化の言及

【光化学反応】より

…物質が光を吸収してできた励起種が直接的にひき起こす諸過程を光化学前期過程といい,これにひき続いて起こる過程を光化学後続過程というが,光化学反応はどちらの過程でも起こる。光化学前期過程で起こる化学反応には,(1)光分解,(2)光異性化,(3)光励起分子と他の分子との衝突による反応などがある。(1)の光分解には,直接光分解(たとえばヨウ化水素の260nm領域における光分解で,10-13秒以内に分解する)と前期解離とがある。…

※「光異性化」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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