条約締結において、実際にその任にあたる者が、国家を代表して、条約の交渉・採択・確定をし、条約に署名する権限をもつことを、条約締結権者が証明する文書である(ウィーン条約法条約2条c)。国家を代表して条約締結の権限を有する条約締結権者は、それぞれの国の憲法によって定められ、本来ならば条約締結権者が自ら条約の締結を行うべきであるが、実際には条約締結権者が自らすべての条約締結にあたることは不可能である。このため全権委任状が必要である。したがって、国家がある人をその国を代表する者と認め、かつ全権委任状を省略するという意図が明確な場合には、その人は全権委任状なしで国家を代表することができる。国家元首、政府の長、外務大臣、外交使節は職務上、当然に国家を代表する者と認められ、全権委任状は必要ではない(同7条)。日本の場合、全権委任状は条約締結権者である内閣が発行し、天皇が認証する(日本国憲法7条5号)。
[広部和也]
出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報
…委任状には収入印紙をはって消印をすることが必要とされる。なお,国際法上,領事を派遣する国が特定の人を領事として任命することを示す文書を委任状lettre de provisionといい,外交交渉の権限を与える文書を全権委任状pleins pouvoirs(full powers)という。【川井 健】。…
…口頭によることが多い。 全権full powers全権委任状あるいは全権委員のこと。外交交渉,とくに国際条約の締結のためには,交渉代表に元首の署名捺印した全権委任状が与えられる。…
※「全権委任状」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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