八茎鉱山(読み)やぐきこうざん

日本歴史地名大系 「八茎鉱山」の解説

八茎鉱山
やぐきこうざん

[現在地名]いわき市四倉町八茎・四倉町玉山

阿武隈高地東縁にあり、寛永二年(一六二五)頃の発見と伝える(「八茎村忠兵衛由緒書」内藤家文書)。その発見について、八茎薬師堂縁起(八茎寺文書)は「寛永年中田夫四人あり貧窮極れり、八茎山に詣て困苦を祈除し百日参籠せしに、後峰に銅山ある事を尊像善(不)老比丘に化して告け玉ふ是れ銅山の掘初なり」と記している。銅山の採掘にあたり技術者たる山師は相州の技術を伝え、水戸藩領の日立銅山の経営に従事していた横山甚之丞や伊豆国の白井五左衛門らを内藤家が事業のため召抱えた(横山家文書)

出典 平凡社「日本歴史地名大系」日本歴史地名大系について 情報

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「八茎鉱山」の意味・わかりやすい解説

八茎鉱山
やぐきこうざん

福島県南東部,仁井田川上流にある鉱山。いわき市に属する。黄銅鉱磁鉄鉱石灰石などを産する。付近は古生層の向斜構造を示し,鉱床は石灰岩層の下部が接触変成作用を受けてできたものである。天正年間 (1573~92) 岩城氏により開鉱されたと伝えられ,のち佐竹氏が本格的に採掘を始めた。明治中期から大正末期までは銅が中心で,製錬所が建設されたが,1978年4月に銅鉱石は採掘を中止し,その後は石灰石,砕石タングステンを産出している。なお石灰石は四倉のセメント工場へ送られている。

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