内視鏡的治療(読み)ないしきょうてきちりょう

百科事典マイペディア 「内視鏡的治療」の意味・わかりやすい解説

内視鏡的治療【ないしきょうてきちりょう】

腹や胸を切り開かずに,数ヵ所の穴を開け内視鏡を入れて手術をしたり,胃カメラなどを口から入れて治療する方法。手術による身体へのダメージが少なくてすむため,QOL(クオリティ・オブ・ライフ)を高める治療法として,ここ数年急速に普及している。 内視鏡による手術(内視鏡下手術)は,1987年に世界で初めてフランスの開業医が行い,米国で普及した。日本では1990年に帝京大学の山川達郎教授が,初めて腹腔鏡腹部を見る内視鏡)による胆嚢(たんのう)摘出手術を行った。 1996年に健康保険の適用範囲が広がり,現在では胆嚢,肺のほか,胃・大腸などほとんどの消化器官腎臓副腎などの臓器が対象となっている。なかでも,気胸や肺癌(がん)を治療する胸腔鏡下手術や,胆石胃癌切除など腹部を対象とする腹腔鏡下手術は,外科医の技術や器具の改良によって,手術の対象となる疾患が増えている。 技術的には,早期癌などを切除する内視鏡的粘膜摘除術(EMR),食道や胃などの静脈瘤に硬化剤を注入する内視鏡的硬化療法(EIS)などがある。このほか,胆管の詰まった部分チューブを挿入する内視鏡的胆道ドレナージ(EBO)や,総胆管(胆管と胆嚢管が合流し,十二指腸に至る管)にできた結石を砕いて排出させる内視鏡的機械的砕石術(EML)などがある。

出典 株式会社平凡社百科事典マイペディアについて 情報

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