家庭医学館 「内軟骨腫」の解説
ないなんこつしゅ【内軟骨腫 Enchondroma】
内軟骨腫は、骨軟骨腫(こつなんこつしゅ)(「骨軟骨腫」)のつぎに多くみられる良性の骨腫瘍(こつしゅよう)です。
おもに手足の小管骨(しょうかんこつ)(細い管状の骨)に発生します。
1つの骨にできる単発性のものと、2つ以上の骨にできる多発性のものがあります。
内軟骨腫が発生しやすい年齢は、10~40歳代です。
良性の腫瘍ですが、まれに、40~50歳代になって悪性への変化がおこり、軟骨肉腫(なんこつにくしゅ)(「軟骨肉腫」)に変わることもあります。
[症状]
腫瘍が骨内にとどまっている場合は、症状はほとんどありません。
野球やバレーボールなどのスポーツでつき指をして、病的骨折がおこり、X線写真を撮って、初めて発見されることもあります。
腫瘍が大きくなると、指など小管骨(しょうかんこつ)の一部が膨(ふく)らんできます。
触れると、かたい小さな腫瘤(しゅりゅう)(こぶ)を感じますが、痛みはほとんどありません。
多発性の場合は、子どものころから、手指の変形や腫瘤などがみられます。
X線検査を行なえば、容易に診断がつきます。
[治療]
症状がなければ、経過を観察するだけで十分です。
骨皮質(こつひしつ)(骨の外側にあるかたい部分)が薄くなり、骨折をおこす危険がある場合や、腫瘤が大きくなった場合には、腫瘍をかきとって(掻爬(そうは))から、その欠けた部分に骨を移植する手術が行なわれます。
移植する骨は、自分の骨をほかの部位からとるのがもっともよいのですが、骨バンクに保存してある他人の骨(銀行骨)や人工骨を用いた場合でも、よく治ります。
手術後、1週間から10日間くらいの入院ですみますが、骨が完全に修復されるまでには、だいたい2~3か月はかかります。