日本大百科全書(ニッポニカ) 「再生医療推進法」の意味・わかりやすい解説
再生医療推進法
さいせいいりょうすいしんほう
再生医療の実用化を迅速かつ安全に推進するための法律。正式名称は「再生医療を国民が迅速かつ安全に受けられるようにするための施策の総合的な推進に関する法律」(平成25年法律第13号)。2013年(平成25)4月に超党派の議員立法によって成立した。ヒトの細胞を用いる治療に伴う生命倫理の問題を考慮に入れつつ、安全な研究開発や治療の普及の実現を目ざして総合的に取り組むことが基本理念に盛り込まれている。そのために、再生医療の産業化を視野に入れて、再生医療に用いる細胞・組織の培養や加工を医療機関外の民間事業者(特定細胞加工物製造事業者)に委託すること、すなわち基準を満たした民間企業の参入を認めている。さらに国は推進状況をも見据えて、必要があれば基本方針を少なくとも3年ごとに見直すよう定めている。
この法律に関連して、細胞を使った治療のリスクの高さに応じて規制を設ける「再生医療等の安全性の確保等に関する法律(再生医療等安全性確保法)」を制定。また、再生医療関連の製品や機器の承認手続きを簡略化して実用化を促進するため薬事法を改正し「医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律(医薬品医療機器等法)」とした。これにより法的に再生医療を積極的に創出し安全に開発を推進する体制が整った。医薬品医療機器等法(薬機法)では、再生医療の速やかな実用化を目ざして、再生医療製品や医療機器の承認手続きを迅速に行うことも意図されている。再生医療等製品は医薬品医療機器等法で医薬品や医療機器に加えて新たに定義された。これは、再生医療に用いられるヒトなどの細胞を用いて培養その他の加工を施し人工的に生成される製品で、皮膚や軟骨などがその例である。
[編集部]