冠動脈造影検査

内科学 第10版の解説

冠動脈造影検査(検査法)

(1)冠動脈造影検査(coronary angiographyあるいはcoronary arteriography:CAG)とは
 体表面にある動脈から逆行性に上行大動脈まで進めたカテーテルを,冠動脈入口部に挿入したうえで造影剤を注入しながら,専用の機器を用いて多方向からの撮影を行い,狭窄あるいは閉塞の有無・部位・分布・程度を,冠動脈全体にわたって評価・診断する検査である.管球から発生したX線が,冠動脈内の造影剤によって減衰し,周囲の心臓組織との間でコントラストを生ずる現象を利用している.現在の最新の機器においては,X線エネルギーの電気信号への変換にはフラットパネルが用いられ,その後の画像処理も,世界各国で共通した規格のもとに,すべてデジタル化されている(図5-5-61).通常は,左室造影法とあわせて行い,病態・重症度を総合的に評価する.1959年,Sonesによって第1例が施行されてから,すでに50年以上が経過しているが,依然として冠動脈疾患の検査法としては,最も重要なものである.1977年に発表され,その後,冠動脈疾患の治療方法として揺るぎない地位を築くに至った冠動脈形成術(percutaneous coronary intervention:PCI)は,冠動脈造影所見を元に,種々のデバイスを用いて狭窄し冠動脈の拡張を行っていくものであり,本検査とは切っても切れない関係にある.
(2)意義と問題点
 冠動脈疾患に対しては,薬物療法に加え,PCI・冠動脈大動脈バイパス手術(CABG)に大別される観血的治療が広く行われている.本検査による情報なしには,観血的治療の適応の判断と,PCI・CABGの選択は不可能である.非侵襲的検査の著しい進歩にもかかわらず,本検査は,冠動脈病変の詳細を視覚的に示す点で最もすぐれており,現在でも,こうした治療方針決定に際してのゴールドスタンダードである.急性心筋梗塞や不安定狭心症などの緊急例では,本検査で冠動脈病変を正確に把握した後,そのまま,ごく短時間のうちにPCIに移行できる.つまり,検査と治療が一体化していて,緊急例にも容易に対応可能なことは,本法の大きな特長である. また,PCI適応と判断される場合,PCIを成功裏に施行するために必要な種々の情報は,本検査なしには入手できない.単に狭窄の有無を判定すればよいのではなく,①PCIの標的病変に至るまでのおもな分枝の分離状況(どこから,どのような角度で分枝しているか?分岐部に狭窄はあるか?)②標的病変の近位部・遠位部の屈曲度やその大きさ③標的病変の形態や性情などについての情報を得ることが可能であるし,逆にいうと,得られるような質の高い検査を行わねばならない.本検査の問題点としては,①最新の機器を用いても,分解能(最小解像度)は0.2~0.3 mmにとどまること,②あくまで造影剤で充満された血管の,いわば“影絵”の観察による間接的な評価であり,冠動脈壁を直接観察可能な血管内超音波検査とは異なること,③患者の機能的な重症度や冠動脈病変による生理学的異常を直接示すものではないこと,④機器の進歩で安全性が向上したとはいえ,依然,侵襲的な検査であることには変わりなく種々の合併症が発生しうること,⑤患者および医療者双方が,少量ではあるがX線被曝を伴うこと,などがあげられる.
(3)方法
 Sonesらが本検査を創始した当時は,上腕動脈を直視下に切開し,カテーテルを挿入していたが,その後,Judkinsらが皮膚を切開せず,大腿動脈を穿刺してシースを留置したうえで,カテーテルを挿入する方法を開発した.動脈内へのカテーテルの挿入・検査中のカテーテルの交換はシースを用いるほうがはるかに容易であり,また,後日,検査を反復することも可能である.現在は,ほぼすべての冠動脈造影が,このやり方で行われている.
a.穿刺部位
 大腿動脈・上腕動脈・橈骨動脈のいずれかを使用する.冠動脈造影のみであれば小口径(4ないし5Fr)の診断カテーテルで可能なことから,慢性血液透析合併例などの少数の例外を除き,橈骨動脈を用いても問題はない.
b.カテーテル
 Judkinsが開発した左および右冠動脈造影用のカテーテルは,本来は,大腿動脈からの使用を想定して設計されたものであるが,上腕・橈骨動脈からも簡単に挿入が可能なことから,現在でも,最も高頻度に使用されている(図5-5-62).次によく用いられるのは,Amplatzカテーテルである(図5-5-62).その他に,内胸動脈用,さらには,1本のカテーテルで左右冠動脈の造影が可能な多種・多様な両用カテーテルが開発・使用されている.
 シースを動脈に挿入した後,X線透視下にガイドワイヤーを先行させながらカテーテルを上行大動脈まで進め,その後,各カテーテルにあわせた操作を行い,左右の冠動脈に挿入する.
(4)合併症
 カテーテル操作に伴うものとしては冠動脈入口部損傷・冠動脈塞栓症(空気ないし血栓による)・冠攣縮などがある.カテーテルが走行する血管への合併症としては,動脈解離・穿刺部血腫・動静脈瘻などがある.造影剤によって,アレルギー(重症例ではアナフィラキシーショック)・腎機能障害などがある.しかし,カテーテルが柔軟性に富み細径化したこと,非イオン性低浸透圧性造影剤の導入とX線撮影装置の進歩により,本検査に直接伴う重篤な合併症の発生頻度は,対象患者の高齢化・重症化にもかかわらず激減している.米国心血管造影インターベンション学会によれば,死亡率0.11%,急性心筋梗塞0.05%,脳血管障害0.07%と報告されている. カテーテル操作に伴う合併症を予防するためには,①穿刺部位から冠動脈までに至る全動脈系について,正常所見のみならず,解剖学的異常も含め広汎な知識を身につけること,②手技に際しては,論理的整合性をもったカテーテル操作を,透視下に,ゆっくりかつ丁寧に行うことが重要である.
(5)適応
 観血的治療法の進歩ならびに冠動脈造影検査の安全性の向上によって,虚血性心疾患への治療方針決定を目的とした冠動脈造影検査の適応は,一般論として大いに拡大されてきた.本質的に侵襲的検査であるため,その適応については,年齢・職業・ADL・合併疾患の有無・患者の希望など多くの要素を考慮して総合的に判断されるべきもので,一律の適応基準を設定することは困難である.原則として狭心症・心筋梗塞がある症例,非侵襲的検査による虚血所見によってそれらの存在が疑われる症例が基本的適応である.本検査の安全性が増したことにより,冠動脈疾患の存在を積極的に否定する必要がある場合も適応とされる.また,冠動脈疾患を疑わせる根拠が胸部症状のみで,非侵襲的検査による虚血所見を伴わない場合も,患者の年齢や冠危険因子などを考慮し,適応と判断される場合がある. しかしながら,近年,マルチスライスCTスキャンの著しい進歩により,急性心筋梗塞などの緊急例を除き,マルチスライスCTを,冠動脈病変の存在診断の第一選択とする施設が増加している.
(6)禁忌
 純粋に手技上の観点から,絶対的な禁忌は存在しないが,インフォームドコンセントが得られない症例,造影による情報が得られても治療方針に変化がない症例では,冠動脈造影を行わない.
 冠動脈造影に伴う危険性が,治療方針を決定する利益より大きければ相対的な禁忌となる.不明熱,重症感染症(感染性心内膜炎活動期を含む),重症貧血(ヘモグロビン<8 mg/dL),高度電解質異常,活動性の出血,コントロール不可能な重症高血圧,ジギタリス中毒,造影剤高度過敏,出血性素因(INR>2.0)などが相当する.
(7)評価
a.正常冠動脈の走行と解剖
 正常冠動脈において,右冠動脈は右冠動脈洞から起枝した後,右房室間溝を走行して,後室間溝との交点(crux)で後下行枝と房室枝に分かれる(図5-5-63).右冠動脈近位部からは,円錐枝・洞結節枝・右室枝・鋭縁枝が分枝し,主として右房・右室が灌流される.後下行枝は,後室間溝を心尖部へ向かって走行しながら多数の中隔枝を派生する.房室枝は,その近位部で房室結節枝を,房室間溝を走行する間に左室後側面への分枝を派生する.右冠動脈が閉塞し,急性下壁梗塞を発症した場合,房室ブロックを生じやすいこと,右室枝より近位部で閉塞すれば右室梗塞を合併することは,こうした右冠動脈の灌流域を把握すれば,理解しやすい.
 左冠動脈は,左冠動脈洞から起枝し,短い左主幹部を経て左前下行枝と左回旋枝に分かれる(図5-5-63).左主幹部は,肺動脈の背方を左心耳に覆われて走行する.左心室の大部分を灌流する血液がここを通過するわけで,その閉塞は致命的となる.
 左前下行枝は,前室間溝に沿って心尖部をこえて走行し,その間に中隔へ中隔枝,前壁・側壁に対角枝を多数派生する.一部,小さな右室枝を分枝する場合もある.左前下行枝の灌流域は,左室の前壁・側壁の一部・中隔・心尖部に及ぶ広い範囲であることから,冠動脈疾患の観血的治療において最も重要視されている.
 左回旋枝は,房室間溝に沿って左後方へ向かってcruxの手前まで走行し,この間に鈍縁枝・後側壁枝を,側壁・後壁に派生する.近位部からは左房に向かう心房枝や約半数の症例では洞結節枝を派生する.
 一般に,左室後下壁は,主として右冠動脈によって灌流される(右優位型),10~20%の症例では,後下行枝・房室枝が左回旋枝から派生する(左優位型).
 各冠動脈の各分節は,わが国では,米国心臓協会(AHA)による名称でよばれることが多い(図5-5-64).右冠動脈の入口部からcruxまでを1~3,後下行枝を4PD,房室枝を4AVとする.左主幹部を5,左前下行枝は入口部から心尖部までを6~8,第1対角枝を9,第2対角枝を10とする.回旋枝は,cruxに向かう本幹を入口部から11・13,派生する鈍縁枝を12,後側枝を14,左優位型で左後下行枝が存在する場合これを15とする.
b.各冠動脈の分離に最適な撮影角度
 冠動脈造影検査は,三次元に立体的に走行する冠動脈を,一定の方向から眺めた投影像である.冠動脈の走行・分枝は千差万別であり,さらには心臓の解剖学的回転が加わるため,各冠動脈の各分節を最適な形で描写するためには,さまざまな撮影角度を用いる必要がある.右前斜位・左前斜位を基本とし,それに頭側・尾側からの撮影を加える.右冠動脈では2~3方向,左冠動脈では5~7方向程度を撮影する(表5-5-14).施設として撮影角度に統一をもたせたうえで,まず規定の撮影を行い,その後,個々の病変に応じた撮影角度を追加するのが望ましい.ルーチンの撮影角度を統一しておくと,冠動脈の屈曲や心臓の回転について,個々の症例ごとの微妙な差異を認識しやすくなる.おおよその方向が決まっていても,撮影角度に統一性がないと,冠動脈造影所見の微妙な違いが,撮影角度のちょっとしたズレに起因するのか,冠動脈そのものの差異を反映したものか,判別が難しくなる. 
また,各分節に対する代表的撮影角度を単純に記憶することより,冠動脈の立体模型を入手して,撮影角度に一致した方向から眺め,個々の冠動脈の屈曲・分離と撮影角度の関係を,感覚として理解することは,より重要である.特に,PCIの術者を志す医師にとって,この種の感覚を養うことは必須である.
c.panningについて
 X線撮影装置としてフラットパネルが使用されている現在においても,少なからぬ施設で,造影剤の注入に応じて,テーブルを動かす,いわゆるpanningという操作が行われている.旧来使用されていたイメージ・インテンシィファイヤーは,撮影範囲の辺縁でひずみが生じ,焦点が甘くなる宿命があった(図5-5-65).また,肺野などX線透過性の高い部位があるとその影響でハレーションも強く生じた.このため,条件のよい中心部でしか明瞭な画像が得られない傾向があり,高拡大で撮影を行う必要があった.冠動脈全体を撮影するためには,panningを行わざるを得なかった.しかし,このpanningで観察野が激しく動くため,急性冠症候群の責任プラークや,慢性完全閉塞における微細な順行性チャネル・側副血行路などを,造影剤が充影する過程を通して観察することができなくなる.こうした情報は,高質なPCIを行う上で不可欠である.フラットパネルでは,心臓全体が観察野に入る中拡大でも,撮影範囲の遍縁に至るまで均質な画像が得られ(図5-5-65),ハレーションもはるかに少ない.特定の部位を拡大したければ,撮影そのものの設定ではなく,観察のために使用するビューワーのソフトウエアで簡単に拡大が可能である.フラットパネルを使用しているにもかかわらず,少なからぬ施設で,単に旧習を踏まえ,漫然と高拡大でpanningが行われているのは残念な限りである.ぜひ,冠動脈造影は中拡大で,panningを一切せず行ってほしい.
d.異常冠動脈とその評価
 異常所見の大部分は,冠動脈硬化に起因する.冠動脈内腔の狭窄ないし閉塞の評価が主体をなすが,拡張や瘤形成,あるいは,冠動脈壁の性状に対して,壁不整・潰瘍形成・石灰化などの表現を追加する場合もある.その他としては,冠動脈起枝異常・冠動脈解離・冠動脈瘻・冠攣縮などがある.
 冠動脈内腔の狭窄度の評価であるが,冠動脈造影検査は,X線のつくる“投影像”を観察するものである以上,狭窄内腔が正円形でなければ(正円形でないことがほとんどである),撮影角度によって狭窄度は異なって観察される(図5-5-66).一般的には,狭窄が最も高度に見える撮影角度を選択した後,狭窄部前後の健常部を対照として,視覚的な半定量法により評価し,いわゆるAHA狭窄度分類でこれを表す.狭窄が,25%以下であれば25%,26~50%を50%,51~75%を75%,76~90%を90%,91%以上だが造影遅延を伴わない(ほかの冠動脈内と同じ速度で造影剤が入る)ものを95%,造影遅延を伴うものを99%,完全閉塞を100%とする.簡便なものの観察者間のバラツキは生じうるため,それを補うものとして,後述の定量的冠動脈造影法が開発された. 心筋虚血を生じる以上の狭窄度を有意狭窄と称し,AHA狭窄度分類75%以上(つまり,定量的冠動脈造影法による実測50%以上)が相当するとされている.実際に虚血が生ずるか否かは,狭窄度だけではなく,狭窄の存在する部位・灌流域の大きさ・灌流される残存心筋の量など,多くの要素によって決定される.
 完全閉塞や高度狭窄が存在すると,その末梢側の冠動脈が,ほかの冠動脈や近位部から冠動脈外を発達した細い血管を介して造影されることがあり,これを側副血行と称している.側副血行は,末梢側心筋の虚血の軽減にはある程度役立つものの,順行性の血流量に比べ遥かに少ない.完全閉塞に対してPCIを行う場合,側副血行を介した末梢側冠動脈の造影は,ワイヤーを進める際の目標としてきわめて重要である.また,近年は側副血行を通して逆行性にワイヤーなどのデバイスを操作し,慢性完全閉塞の開通を計るPCIも行われている(図5-5-67).
 急性心筋梗塞における冠動脈造影においては,狭窄度だけではなく,心筋をサルベージ可能かどうかの有効血流の有無が重要で,造影遅延の程度に基づくTIMI分類がその評価に用いられている.病変の遠位部へ造影剤がまったく入っていかないものをグレード 0,わずかに入るものの冠動脈末梢までには完全に至らないものをグレード1,末梢まで造影されるが造影遅延を伴うものをグレード2,造影遅延なく末梢まで造影されるものをグレード3と分類する.
(8)定量的冠動脈造影法
 コンピュータによる自動解析を用いて狭窄度をより客観的,定量的に評価する方法である.種々のアルゴリズムのなかでは,冠動脈の辺縁を自動的に描出するエッジディテクション法が,最も広く用いられている.しかしながら,画像の選択や解析に一定の時間が必要であり,またほかの分枝との重なりなどによって,コンピュータによる辺縁の検出が必ずしも正確に行かない場合もあり,主として,データ管理や研究目的として使用されているのが現状である. エッジディテクション法を用いれば,健常部に対しての相対的な狭窄度に加え,使用しているカテーテル外径との比較から,血管径を絶対値として算出できる.特に,狭窄部における最小血管径(minimum luminal diameter:MLD)は,(健常部血管径との間の相対的な数値である)狭窄度と異なり,健常部血管径の影響を直接受けないため,PCI前後と慢性期で,より正確に,その経時的な変化を比較することが可能である.PCIに用いるデバイスの長期的な有効性の判定において,有力な指標の1つとされる.
(9)負荷冠動脈造影法
 異型狭心症における冠動脈攣縮の証明,あるいは,非定型的胸痛患者における冠動脈攣縮の除外を目的として行われる.エルゴノビンの静脈内あるいは冠動脈内投与,ないしは,アセチルコリンの冠動脈内投与によって,攣縮に基づく高度狭窄の誘発を試みる.本法による冠動脈攣縮の検出は,感受性・特異性ともに80~90%と高率である.通常,攣縮は,ニトログリセリンの冠動脈内投与によって解除されるが,重症心室性不整脈や多枝同時攣縮によるショックを生ずる場合もある.[落合正彦]
■文献
Popma JL: Coronary angiography and intravascular ultrasound imaging. In: Braunwald’s Heart Disease. A Textbook of Cardiovascular Medicine (Zipes DP, Libby P, et al ed), pp 423-455, Elsevier Saunders, Philadelphia, 2005.
Scanlon PJ, Faxon DP, et al: ACC/AHA guidelines for coronary angiography. J Am Coll Cardiol, 33: 1756-1824, 1999.

出典 内科学 第10版内科学 第10版について 情報

四訂版 病院で受ける検査がわかる本の解説

冠動脈造影検査


冠動脈のつまりを知るうえで、重要な検査です。検査後は切開した箇所からの出血に注意し、6時間は絶対安静が必要です。

狭心症や急性心筋梗塞の最終診断、予後を判定する検査

 狭心症や急性心筋梗塞こうそくの疑いがあるとき、最終的な診断を行う検査です。図に示したように、心臓を取り巻いて心臓の筋肉に酸素や栄養分を送っている冠動脈が動脈硬化などで狭くなったり(狭窄きょうさく)、つまったり(閉塞)すると、狭心症や急性心筋梗塞がおこるため、この検査は冠動脈のどの枝がどの程度つまっているかを知るうえで有用です。急性心筋梗塞は左心室を中心としておこり、左心房や右心室、右心房の梗塞を合併することがよくあります。

 写真Aは左前下行枝が完全閉塞した症例で、写真Bは、以下で述べるPTCAにより狭窄部がとれて、血液が末梢まで流れるようになっています。

■急性心筋梗塞

中央やや上の横に走る左前下行枝が途中で閉塞してみえなくなっている(血液が流れない)。

PTCA(経皮的冠動脈拡張法)後の写真。左前下行枝の閉塞がとれて血液が流れている。


出血に注意し、 安静を守る

 検査は普通、前日に入院して行います。上腕動脈(ソーンズ法)または鼠径そけい部(股のつけ根)の大腿だいたい動脈(セルジンガー法)を切開し、カテーテル(細いプラスチックの管)を挿入して冠動脈にまで到達させたのち造影剤を注入、X線撮影を行って左右の冠動脈の状態を観察します。所要時間は約1時間です。セルジンガー法(検査の流れは頭部血管造影を参照)では、検査のため、前あきの浴衣ゆかたとT字帯を用意します。

 造影剤のヨード剤にアレルギーのある人や妊娠中あるいはその可能性のある人は、この検査は行いません。医師にその旨を告げてください。喘息ぜんそくやそばアレルギーのある人、じん機能の悪い人は注意が必要です(→参照)。事前に申し出てください。

 前日の夕食は普通ですが、当日の朝は絶食です。造影剤の注入時に灼熱しゃくねつ感がありますが、痛みはありません。検査後は、鼠径部からの出血に注意し、6時間は絶対安静になります。

PTCRとPTCA

 冠動脈に狭窄している部位がみつかった場合は、PTCRまたはPTCAを行うことがあります。

・PTCR=経皮的冠動脈血栓溶解法

 →カテーテルを通して血栓溶解剤を  注入し、狭窄の原因となる血栓を  溶解。

・PTCA=経皮的冠動脈拡張法

 →カテーテルの先端につけたバルー ン(狭窄部を拡張する風船状の器 具)により、血栓を機械的に破壊。

 これらは、急性心筋梗塞の新しい治療法として確立され、高い成功率を示しています。

医師が使う一般用語
「アンギオ」=angiography(血管造影) の略。その他、coronary (冠状の) angiographyから「コロナリー」

出典 法研「四訂版 病院で受ける検査がわかる本」四訂版 病院で受ける検査がわかる本について 情報

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