恒星のスペクトルには多くの吸収線(特定の波長の光が吸収されて暗線、暗帯として観測されるもの)がみられる。その強さはスペクトル型が同じ(すなわち恒星大気の温度が同じとみてよい)でも、星により吸収線の強さや幅が異なることがある。これらはおもに恒星大気の圧力の相違により、さらに圧力の相違は恒星表面の重力の差に、さらにこれは恒星の絶対等級(星を地球から10パーセク=32.6光年の距離から見たときの明るさの等級)と関連する。すなわち、絶対等級の明暗がスペクトル線の特性に現れる。これをスペクトル線の絶対等級効果という。逆にスペクトル線の特性(たとえば効果を受けやすいスペクトル線と他の線との強度比を測るなど)を分光観測で調べるとその星の絶対等級を知ることができる。ゆえに、これと見かけの等級との差からその恒星の距離(視差とみてよい)が求められる。このような方法で距離(視差)を求めることを分光視差という。恒星の距離を求めるもっとも基本的な方法は三角視差(いわゆる年周視差)であるが、これは近距離の恒星にしか使えない。しかし分光視差は、三角視差が使えないかなり遠方の恒星まで適用できる。
[大脇直明]
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…種族Iは種族IIと比較して,周辺のガスとの共存があり,空間速度も小さく,銀河面に集中していて,重元素が多いなどの特徴がある。
[距離,大きさ,質量]
年周視差と星間吸収視差以外に一般的な距離決定法は分光視差である。スペクトル型と光度階級から絶対等級がわかるから,これを見かけの等級と比較してその差を距離に帰するわけである。…
…現在知られている中で視差のもっとも大きい恒星はケンタウルス座プロキシマ星で,0.″750である。地上観測で視差決定の限界は0.″01までであり,これ(100パーセク)より遠い星の距離を決定するには,連星系の軌道周期からきめる力学視差,ケファイド変光星の変光周期からきめるケファイド視差,スペクトル型からきめる分光視差など間接的な方法による。太陽系内の天体の場合には地球の自転による視差,すなわち地心視差(日周視差ともいう。…
※「分光視差」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
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