切山椒(読み)キリザンショウ

デジタル大辞泉 「切山椒」の意味・読み・例文・類語

きり‐ざんしょう〔‐ザンセウ〕【切(り)山×椒】

糝粉しんこ山椒の汁または粉と砂糖とを混ぜて蒸し、臼でついてから拍子木形に切った和菓子 新年「暮からの風邪まだ抜けず―/万太郎

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精選版 日本国語大辞典 「切山椒」の意味・読み・例文・類語

きり‐ざんしょう‥ザンセウ【切山椒】

  1. 〘 名詞 〙 ( 「きりざんしょ」とも ) 山椒の汁と砂糖を混ぜて搗(つ)いたしんこ餠を細長く切った菓子。《 季語・新年 》
    1. [初出の実例]「切山椒 さんせうのうちのしろみをとりよくすりて、花がつほみそをくはへ候」(出典:料理物語(1643)一六)

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「切山椒」の意味・わかりやすい解説

切山椒
きりざんしょう

餅(もち)菓子の一種。サンショウの実を炒(い)ったもの、あるいはサンショウの汁に砂糖を加えて新粉(しんこ)を練り、蒸してから臼(うす)で搗(つ)く。拍子木形に切るので切山椒の名があるが、山椒餅ともいう。臼で搗き上げたのちふたたび蒸して搗き直したものは練(ねり)山椒といい、切山椒としては極上品で求肥(ぎゅうひ)菓子の部類に入る。普通に搗いただけの切山椒は固くなるのも早いが、固くなったものを火鉢であぶって食べる風味のよさが、庶民に親しまれてきた。切山椒は江戸時代からあり、茶人小堀遠州好みと伝えられる。そして求肥菓子の完成期とみられる天保(てんぽう)年間(1830~44)には、極上の山椒餅もつくられた。

 新年の菓子で紅白のものが多いが、ひき茶や黒糖を用いた切山椒もある。夷講(えびすこう)や、酉(とり)の市、初芝居などにも売られた。紅梅焼で有名な東京・浅草の梅林堂では、酉の市にだけ切山椒を売り出す。

[沢 史生

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世界大百科事典(旧版)内の切山椒の言及

【和菓子】より

…ふつうの餅でつくるのは大福餅や萩の餅(ぼた餅)くらいであるが,江戸時代には鶉餅(うずらもち),大仏餅などこの種類のものが多かった。糝粉餅を使うものには鶴の子餅,すあま(州浜),草餅柏餅,切山椒(きりざんしよう)などがあり,だんご類も多くはこれに属する。鶴の子餅(鳥の子餅)は,砂糖を加えた糝粉餅を紅白の卵形にしたもので,祝儀用にされる。…

※「切山椒」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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