切込・斬込(読み)きりこむ

精選版 日本国語大辞典 「切込・斬込」の意味・読み・例文・類語

きり‐こ・む【切込・斬込】

[1] 〘自マ五(四)〙
① 深く切る。鋭くはいりこむ。
※浄瑠璃・日本蓬莱山(1685頃)一「ちゃうどうつ、きりはづして、大木にきりこみ、ぬかんぬかんとする内に」
② 踏み込んで切る。進み入って切る。
※二人比丘尼色懺悔(1889)〈尾崎紅葉戦場「片膝ついたまま斫込(キリコミ)━受流(うけながし)。十二三合亙(わた)り合はす」
③ 刀を抜いて敵の中へはいりこむ。〔日葡辞書(1603‐04)〕
福翁自伝(1899)〈福沢諭吉〉欧羅巴各国に行く「其機に乗じて斬込(キリコ)まうとして」
④ 問いつめる。鋭く追究する。また、激しく詰め寄る。
※かくれんぼ(1891)〈斎藤緑雨〉「賛否何れとも決し難(かね)たる真向(まっかう)から満更(まんざら)小春が憎いでもあるまいと遠慮なく発議者に斬(キリ)込まれ」
[2] 〘他マ五(四)〙
① 切ってはめ込む。建築用に材木を切って適合させる。〔和英語林集成(初版)(1867)〕
② 切って入れる。
四河入海(17C前)二五魚肉の雪の如くなるに、青蔬をきりこみて、煮て食ぞ」

きり‐こみ【切込・斬込】

〘名〙
① 切り込むこと。また、その切り目。
※大菩薩峠(1913‐41)〈中里介山〉如法闇夜の巻「その切(キ)り込(コ)みはまだ其んなに深くはありませんでしたけれど、退引(のっぴき)ならぬ破牢の極印である事は確かであります」
② 刀を振るって敵中に突入すること。
※幸若・ほり川(室町末‐近世初)「うしろをきるはなか切、さざ浪切に水くるま、やあ、きりこみわきこみたたくやみうちすて刀」
③ 魚肉をぶつ切りにし、塩漬けにした食品。
※談義本・つれづれ睟か川(1783)五「泥亀は切込(キリコミ)の方でなければいけぬなどと」
④ 布のふちをはさみで斜めに切ること。裁縫で、布帛(ふはく)のふちのひきつったときなどにする。
冬季水中に柴を束ねて漬けて置き、避寒のためにそこに集まる魚を春になって囲みとるもの。柴漬(ふしづけ)。〔随筆・嬉遊笑覧(1830)〕

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