書物装丁法の一つ。用紙を数枚(3~10枚,普通5枚前後)重ねて二つ折りにしたものを一くくりとし,それを数くくり重ね,表紙を添えてとじたもの。現在普通に使うノートブックに似たとじ方である。列帖は粘葉(でつちよう)の転訛かとも解されるが,書誌学では綴葉装(てつちようそう)ともいう。巻子本(かんすぼん),折本(おりほん),旋風葉,粘葉装,線装(袋とじ)という中国書物形態の変遷に伴って,日本でもこれにならったが,中国では粘葉から線装へと直接移行したのに対して,この中間に日本独自の糸とじによる列帖装が考案された。この様式は基本的には粘葉装からの発想であろうが,用紙に雁皮紙系厚様(あつよう)を使って両面書写を目的にしたものである。平安時代中期以降,勅撰集,歌書,物語など日本の古典に属する古写本がこの装丁で,仮名文芸作品の書物の最もポピュラーな装丁法であった。列帖装の印刷本は袋とじに比し,両面刷り,用紙を重ね合わすなど割付に複雑な工程を必要とし,遺例が少ない。南北朝時代刊行の高野版《声明集》,嵯峨本《観世流謡本》(〈元和卯月本〉)がある。
執筆者:大内田 貞郎
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