大和綴(読み)やまととじ

精選版 日本国語大辞典 「大和綴」の意味・読み・例文・類語

やまと‐とじ‥とぢ【大和綴】

  1. 〘 名詞 〙
  2. 書物帳簿などの綴方(とじかた)一種。紙を数枚重ねて二つに折り、それを一帖とし、七、八帖前後を重ねて、背の上下二か所に切り込みか穴をあけ、順次糸で綴じ合わせたもの。初帖と末帖とにそれぞれ表紙をつけ、さらに、一、二か所装飾的に紐で綴じて表面に結んだものもある。列帖装(れっちょうそう)
    1. <a href=大和綴" />
      大和綴
    2. [初出の実例]「ふるさうしをばいづちさだめん むぐら生るやどは唐とぢ大和とぢ」(出典:俳諧・誹諧之連歌(飛梅千句)(1540)唐何第六)
  3. 結綴(むすびとじ)の俗称。

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「大和綴」の意味・わかりやすい解説

大和綴
やまととじ

装丁法の一つ。用紙を数枚ないし数十枚重ね、紙縒(こより)で中綴じをして留める。ついで前後に表紙を添え、右端の上と下二か所に二つずつ綴じ穴をあけて、装飾的な組紐(くみひも)または平紐、あるいは数本の太白(たいはく)(太い絹糸)で結び綴じしたものである。用紙の折り方、重ね方は綴葉装(てっちょうそう)(列帖(れつじょう)装)、胡蝶(こちょう)装(粘葉(でっちょう)装)、袋綴いずれの方法でもよい。この装丁法はすでに平安末期から行われ、原装を伝えるものに『打聞(うちぎき)集』(山口光円旧蔵)が知られていたが、近年別種の装丁に改装されてしまったという。この綴じ方は今日でも神社仏閣名所旧跡の写真帳などに多くみられる。綴葉装や胡蝶装を大和綴とする説もある。

[金子和正]

『遠藤諦之輔著『古文書修補六十年』(1987・汲古書院)』

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改訂新版 世界大百科事典 「大和綴」の意味・わかりやすい解説

大和綴 (やまととじ)

書物装丁法の一つ。用紙を列葉装のようにとじたものもあるが,通例袋とじと同様な重ね方をして,こよりで中とじをしたうえで,前後に表紙を添えて,表紙の右端から約1cmぐらい内側のところに,上下2ヵ所に二つずつの穴をあけて,そこに装飾的な平織紐やリボンを通して表側で結ぶものである。この装丁はすでに平安時代末期から行われていたもので,《打聞集》(旧山口光円蔵)がそれである。また近世・明治期の歌集にも使用され,名所旧跡,記念行事,社寺宝物などの写真帳に多くみられる。この大和綴の名称を列帖装に用いる学者もあり,また粘葉装(でつちようそう)を大和綴と誤用する例もある。
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百科事典マイペディア 「大和綴」の意味・わかりやすい解説

大和綴【やまととじ】

和書の製本の一様式。普通は袋綴(とじ)と同じように重ね,こよりで中綴をし,前後に表紙をつけて右端上下2ヵ所に二つずつ穴を開けて,紐などで結ぶもの。平安末期から近世・明治期の歌集などにも使用された。また〈列帖装(れっちょうそう)〉や〈綴葉装(てっちょうそう)〉も大和綴に含まれる。これは数枚の紙を重ねて二つ折りにし,折り目を綴じて一括(くく)りとしたものを数括り重ね,前後に表紙を添えて右端を上下2ヵ所表紙の上から結び綴じにする。中国から伝わった胡蝶装は片面に文字を書いたものを二つ折りにして重ね,糊づけするため,読む際に白紙の面と文字面が交互にあらわれたり,糊のために虫害にあいやすかった。中国ではそのため袋綴に移行したが,日本ではこのほかに独自にこの製本方式が工夫され,江戸期にいたるまで続いた。

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「大和綴」の意味・わかりやすい解説

大和綴
やまととじ

列帖装 (れっちょうそう) とも呼ぶ。書物の装丁法の一種。数枚の紙を重ねて2つ折りとし,こよりか糸で綴じたもの。折り目の上下に2つずつの穴をあけ,こよりや紐でそれぞれの2ヵ所を綴じるものもある。 (→胡蝶装 , 粘葉装 )

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世界大百科事典(旧版)内の大和綴の言及

【製本】より

…中国ではこれを〈綫縫(せんぼう)〉といい,日本では〈袋綴(ふくろとじ)〉といって,普通の和装本に使用されているものである。 以上のように,中国では粘葉装(胡蝶装)から袋綴(綫縫)に移行したが,日本ではその間に,〈大和綴(やまととじ)〉(〈綴葉装(てつちようそう)〉ともいう)という,独特の装丁法を案出した。中国から粘葉装が伝来したとき,白面と文字面の交互になるのをきらい,厚手の紙を用いて,表裏両面に文字を書き,二つ折りにして糊づけし,1枚ずつめくるようにしたが,糊づけする代りに数枚の紙を二つ折りにし,その折り目を2ヵ所糸でとじて1丁とし,このようにしてできた数丁をさらに糸で合綴(ごうてつ)して1冊とし,表紙を加えて仕上げた。…

※「大和綴」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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