副手は,第2次世界大戦前においては,助手と同じ職務を行う者としておもに学部卒業者から採用された者である。たとえば東京帝国大学では,「副手ノ職務ハ助手ニ同シ」「副手ハ無給トス」と規定していた。助手が官制で位置付けられた官吏であるのに対して,学内規程で設けられる副手は原則として無給で,その身分は非常勤の嘱託員であった。その制度は戦後も引き継がれたが,待遇の改善を求める教職員組合活動が続けられ,また国会でも副手が置かれた環境が劣悪であることが問題視されるなどした結果,一部の副手の有給化や無給副手制度の廃止が図られるなどした。副手は国が定める制度ではなく,かつての国立大学においても国の定員管理の対象外であって,その取扱いはさまざまであった。現在においても,助手の前段階あるいは教育研究支援職員等として副手が採用されている大学はあるが,その採用条件,身分,業務内容は多様である。
著者: 大場淳
出典 平凡社「大学事典」大学事典について 情報