創感染予防および破傷風予防

六訂版 家庭医学大全科 の解説

創感染予防および破傷風予防
(外傷)

創感染予防

 傷や創(皮下組織にまで達した傷)は、感染があると治癒メカニズムがはたらきません。生体は、ある一定の病原微生物の侵入に対して殺菌できますが、その数を超えると病原微生物は増殖し、組織を破壊したり炎症が続き、感染症を起こします。

 そのために、傷や創を十分に洗浄し、付着した病原微生物の数を減らすことが重要です。挫滅(ざめつ)した組織や異物も、病原微生物の巣となって感染を助長するため、除去することが重要です。汚染が著しい場合は抗生物質を投与します。

破傷風予防

 破傷風は、日本で年間40~50例の発生があります。破傷風菌地表から約10㎝までの深さの土壌中に棲息(せいそく)し、これが外傷などの原因で人体に感染した場合、強力な外毒素を産生し、重大な病態を引き起こします。

 感染後3~21日ころになって口が開きにくくなり、次第に顔面や全身の筋肉がけいれんを起こします。その後、呼吸不全や自律神経の過剰な変化が短時間で繰り返され、血液の循環の維持が困難になって死に至るという重い感染症です。

 そのため日本では、幼児・学童期に計3~4回の予防注射を行っています。免疫が続くのは3~5年といわれており、最後の予防注射時期創傷汚染度から判断して、開放損傷では破傷風トキソイド破傷風免疫ヒトグロブリンの注射を行います。

 企業では、衛生環境が危惧(きぐ)される地域への派遣時にA型B型肝炎に対するワクチンや破傷風トキソイドワクチンの接種を行っているところがあります。

出典 法研「六訂版 家庭医学大全科」六訂版 家庭医学大全科について 情報

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