コトバンクはYahoo!辞書と技術提携しています。

破傷風 はしょうふう tetanus

翻訳|tetanus

8件 の用語解説(破傷風の意味・用語解説を検索)

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典の解説

破傷風
はしょうふう
tetanus

破傷風菌が創傷から侵入し,毒素を出すことによって起る感染症で,臨床的には,咬筋のけいれんによる牙関緊急 (咀しゃく筋の強直) に始る。次いで,うなじが強直し,病状が進行すると特有な反弓緊張 (体が弓なりになる姿勢) が出てくる。

本文は出典元の記述の一部を掲載しています。

出典|ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典
Copyright (c) 2014 Britannica Japan Co., Ltd. All rights reserved.
それぞれの記述は執筆時点でのもので、常に最新の内容であることを保証するものではありません。

デジタル大辞泉の解説

はしょう‐ふう〔ハシヤウ‐〕【破傷風】

破傷風菌によって起こる重い感染症。感染症予防法の5類感染症の一。菌が傷口から侵入し、その神経毒のため、口がこわばって開きにくく、全身の筋肉に硬直・痙攣(けいれん)が現れ、呼吸困難に陥って死亡する危険がある。治療に困難を伴うので、予防接種が重要。

出典|小学館 この辞書の凡例を見る
監修:松村明
編集委員:池上秋彦、金田弘、杉崎一雄、鈴木丹士郎、中嶋尚、林巨樹、飛田良文
編集協力:曽根脩
(C)Shogakukan Inc.
それぞれの用語は執筆時点での最新のもので、常に最新の内容であることを保証するものではありません。

百科事典マイペディアの解説

破傷風【はしょうふう】

よごれた傷口から破傷風菌が感染して起こる病気。神経系統が冒され全身の疼痛(とうつう)を伴う筋痙攣(けいれん)のために開口不能,項部(首すじの後)強直,背筋痙攣などを起こし,重症者は死亡する。
→関連項目北里柴三郎三種混合ワクチン伝染病トキソイド届出伝染病

出典|株式会社日立ソリューションズ・クリエイト
All Rights Reserved. Copyright (C) 2015, Hitachi Solutions Create,Ltd. ご提供する『百科事典マイペディア』は2010年5月に編集・制作したものです

栄養・生化学辞典の解説

破傷風

 破傷風菌の感染症.創傷から感染し,症状が進むと痙攣を起こし,ときには死に至る.

出典|朝倉書店
Copyright (C) 2009 Asakura Publishing Co., Ltd. All rights reserved.
それぞれの用語は執筆時点での最新のもので、常に最新の内容であることを保証するものではありません。

家庭医学館の解説

はしょうふう【破傷風 Tetanus】

[どんな病気か]
 古釘(ふるくぎ)を刺したり、けがややけどをしたときに、汚れた傷に破傷風菌が入り増殖(ぞうしょく)すると、生産された毒素が末梢神経(まっしょうしんけい)や脊髄前角細胞(せきずいぜんかくさいぼう)をおかすため、たいした傷でなく治っても、1~数週間後に発病し、全身の筋肉のけいれんがおこり、約半数が死亡する危険な病気です。感染症予防法で5類感染症に指定されています。
[原因]
 病原の破傷風菌は、通常は人間や、家畜の糞便(ふんべん)、土の中にいますが、この場合は胞子(ほうし)の型で生存しているだけで活動はしません。
 しかし、最初に述べたような機会に、人体の組織の損傷部に侵入すると、変身して栄養型の桿菌(かんきん)になり、増殖して毒素を生産し、この毒素が神経を伝わって脊髄前角細胞に達して、支配下の筋肉のけいれんをおこし、さらに毒素は脊髄神経を上昇して多くの筋肉の強直(きょうちょく)やけいれんをおこします。
 したがって、この病気は人から人へ感染することはありません。
[症状]
 受傷してから発病までの潜伏期間は、多くは1~2週間ですが、短いときは3日、長いときは2か月以上のこともあります。したがって、発病時には傷の表面は治癒(ちゆ)し、感染部位が不明のこともあります。
 発病の初期は、くびすじが張る、ものをかむと疲れる、受傷部位の異常感、全身倦怠感(ぜんしんけんたいかん)、よく眠れないなどが1~3日続きます。新生児では乳を飲まなくなります。つぎに咬筋(こうきん)(ものをかむときはたらく筋肉)がこわばって口をあけにくくなります。この時期までに適正な治療が開始されれば助かりますが、そうでないと嚥下困難(えんげこんなん)や発語障害、排便(はいべん)・排尿(はいにょう)障害も出現し、くび、背、胸、腹などの筋肉も、ちょっとした刺激でけいれん発作をおこすようになり、からだを弓のようにそり返らせ、手足をつっぱる全身けいれんがおこります。意識はおかされませんから、病人はひどく苦しみます。そして多くは呼吸筋や声門(せいもん)のけいれんで窒息(ちっそく)して死亡しますが、ときには肺炎、あるいは頻発するけいれんで心臓衰弱をおこして死亡することもあります。
[治療]
 毒素を中和するために抗毒素血清(こうどくそけっせい)を注射しますが、血清病をおこさないように、近年は人間の血液からつくった抗毒素血清(破傷風ヒト免疫グロブリン)が用いられます。
 破傷風菌に対しては抗生物質が用いられ、けいれん発作には強い鎮静薬(ちんせいやく)が注射され、呼吸困難には深い麻酔をかけて呼吸筋を弛緩(しかん)させ、気管切開して人工呼吸器を使います。また、傷の部分は外見上は治癒していても、広く切開し、異物があれば取り除きます。
 入院期間は、3~5週間必要です。
[予防]
 受傷したときは十分に消毒し、汚れのひどい傷や異物が入っているときは、外科医の手当を受け、傷の付近に破傷風抗毒素血清を少量注射し、同時に破傷風の予防注射をしてもらうことが必要です。
 また、外傷を受けやすい職業の人は、健康なときに予防注射を受けておくことです(「おもな予防接種一覧」の沈降破傷風トキソイド(沈降T))。なお、破傷風は罹患(りかん)しても免疫(めんえき)はできません。

出典|小学館
(C)Shogakukan Inc.
それぞれの用語は執筆時点での最新のもので、常に最新の内容であることを保証するものではありません。この事典によって自己判断、自己治療をすることはお止めください。あくまで症状と病気の関係についてのおおよその知識を得るためのものとお考えください。

世界大百科事典 第2版の解説

はしょうふう【破傷風 tetanus】

破傷風菌が産生する神経毒による中毒性感染症で,tetanusは〈つっぱる〉〈緊張する〉という意味のギリシア語tétanosに由来する。外傷部に土やほこりといっしょに入った破傷風菌が増殖して毒素を産生する。毒素は血液または神経を介して中枢神経(脳や脊髄の前角細胞)に達し刺激興奮性を高める。破傷風毒素は,ボツリヌス菌の産生するボツリヌス毒素に次いで地球上で2番目に強力な生体毒素で,その結晶製品6gは日本人全員の致死量に相当する。

出典|株式会社日立ソリューションズ・クリエイト
All Rights Reserved. Copyright (C) 2015, Hitachi Solutions Create,Ltd. 収録データは1998年10月に編集製作されたものです。それぞれの用語は執筆時点での最新のもので、常に最新の内容であることを保証するものではありません。また、本文中の図・表・イラストはご提供しておりません。

大辞林 第三版の解説

はしょうふう【破傷風】

傷口から破傷風菌がはいって起こる感染症。菌の出す毒素が中枢神経、特に脊髄を冒し、開口障害・嚥下えんげ困難・筋肉の強直・痙攣けいれんなど激しい症状が現れる。死亡率が高い。予防接種が有効。

出典|三省堂
(C) Sanseido Co.,Ltd. 編者:松村明 編 発行者:株式会社 三省堂 ※ 書籍版『大辞林第三版』の図表・付録は収録させておりません。 ※ それぞれの用語は執筆時点での最新のもので、常に最新の内容であることを保証するものではありません。

日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

破傷風
はしょうふう
tetanus

傷口から侵入した破傷風菌が増殖して産生する毒素によって末梢(まっしょう)神経および脊髄(せきずい)前角細胞が侵され、全身の筋肉が強直性けいれんをおこす疾患。感染症予防・医療法(感染症法)では5類感染症に分類されている。放置すれば呼吸筋のけいれんによる窒息で死亡するきわめて致死率の高い疾患で、昭和20年代には年間1000人から2000人を超える患者数を数えたが、予防接種の普及などによって1976年(昭和51)以降は年間患者数が100人を割り、89年(平成1)以降は50人以下まで激減した。その後、年間患者数は30~50人程度で推移していたが、近年は1999年66人、2002年106人、2005年115人と増加傾向にあり、ワクチン接種の機会のなかった年長者に発生が多くみられる。なお新生児破傷風死亡者は1950年の報告では全体の3割を占めていたが、1979年以降日本では新生児破傷風死亡者は1995年の1例のみである。[柳下徳雄]

感染

病原体の破傷風菌は土壌中に常在し、ヒトや動物の糞便(ふんべん)中にも存在しており、とげや古釘(くぎ)を刺したり、やけど、抜歯、人工妊娠中絶などのときに傷口から侵入する。また、臍帯(さいたい)切断端から感染する新生児破傷風もある。潜伏期は発育条件によって異なり、3日から数週間にも及ぶが、多くは10日から2週間である。[柳下徳雄]

症状

全身がだるい、眠れないなどの違和感(前駆症状)ののち、口がこわばって開きにくくなる開口障害がみられ、このとき咬(こう)筋や顔面筋の攣縮(れんしゅく)によって苦笑しているような顔貌(がんぼう)を呈することがある。これは破傷風に特徴的なもので、痙笑(けいしょう)とよばれる。ついで全身けいれんの発作をおこすようになる。この発作は体を弓なりに反らせて手足を突っ張るもので、ちょっとした接触のほか、音や光などの刺激で誘発される。意識は障害されないが、けいれんによる呼吸筋や喉頭(こうとう)筋の過緊張がおこると呼吸困難に陥るほか、頻発するけいれんによって心臓衰弱をおこしたりすることで死亡する。全身けいれんをおこす期間は2、3週間で、これを過ぎると徐々に寛解していく。[柳下徳雄]

治療

まず抗不安剤であるジアゼパムを与えて患者を鎮静させたのち、なるべく早期に破傷風抗毒素製剤を注射して毒素を中和する。この注射は早ければ早いほど少量でも治療効果があるが、ある程度以上時間が経過すると、いかに大量を与えても効果はみられない。これは毒素が組織に結合して発病するためで、組織に結合した毒素は抗毒素を大量に与えても中和しにくい。なお、この注射は1回で2、3週間にわたる十分な血中抗毒素が維持されるので、追加注射の必要はない。
 このほか、傷に異物が残存する場合には除去し、壊死(えし)組織を完全に切除する必要があり、破傷風菌に対してはペニシリン系抗生物質を輸液中に加える。また、死因はおもに呼吸困難によるので気道の確保が必要で、全身けいれんに対しては抗けいれん剤や筋弛緩(しかん)剤を用いる。状況によっては全身麻酔を施し、呼吸筋も麻痺(まひ)させて人工呼吸器により1、2週間患者の呼吸を他動的に維持することも行われる。すなわち、治療には内科、外科、麻酔科の協力が必要で、できうる限り集中治療室(ICU)で治療するのが望ましい。[柳下徳雄]

予後

菌が侵入した傷口が治癒していることもあり、開口障害によって初めて気づく場合が多く、手遅れになりやすい。また、病初は軽症のようにみえ、十分に治療しても急に悪化することもある。一般に、開口障害の出現から全身けいれんのおこるまでの時間が48時間以内の患者は重症で、予後不良とされている。かつては致命率30~50%という高率であったが、ICUにおける治療など呼吸および循環系の管理技術が進歩して死亡例は激減した。しかし、ときに重症例もあり、治療の困難な病気であることに変わりはない。[柳下徳雄]

予防

破傷風は治療が困難なだけに予防接種が重視される。外傷を受けやすい乳幼児に対しては定期予防接種があり、ジフテリア(D)、百日咳(ぜき)(P)、破傷風(T)のDPT混合ワクチン(三種混合ワクチン)を3回注射すると破傷風の免疫が完了する。この接種を受けていない者には、沈降破傷風トキソイド0.5ミリリットルを4~8週間の間隔で2回皮下注射し、さらに6~12か月後に第3回目を注射すれば、DPT混合ワクチンの接種と同様の免疫が獲得される。免疫獲得後5年以上経過した受傷者に対しては、受傷後ただちに0.5ミリリットルを再注射すれば4、5日で効力が現れる。また、受傷者の発病防止には外傷部位の正しい外科処置をはじめ、非免疫者あるいは定期予防接種を1、2回しか受けなかった不完全免疫者に対してはトキソイドを数回注射するほか、ペニシリン系抗生物質を投与する。[柳下徳雄]

破傷風菌

破傷風の病原細菌Clostridium tetani(Nicolaier)Holland、グラム陽性胞子(芽胞(がほう))形成桿菌(かんきん)のグループに属し、クロストリジウム属の1種。土壌中に常在し、動物の糞便中にもしばしばみられる。偏性(絶対的)嫌気性菌であり、胞子が一端に偏って形成されるため、杓子(しゃくし)状となる。胞子のない若い時期は周毛性で、運動性がある。桿状で、0.4~1.2×3~8マイクロメートル(1マイクロメートルは100万分の1メートル)。ブドウ糖を加えた血液寒天培地では溶血性を示し、不整形の集落(コロニー)を形成する。生化学的活性は比較的低く、アミノ酸の分解でエネルギーを得ているといわれる。糖分解による酸の産生はない。動物が深部傷を受けると、他の細菌と共生的に発育(混合感染)して局所に膿(のう)症をつくる。その際に産生する菌体外毒素は神経毒である。[曽根田正己]
『北里柴三郎・中村桂子著『能動知性1 生の場 北里柴三郎破傷風菌論』(1999・哲学書房) ▽海老沢功著『破傷風』第2版(2005・日本医事新報社)』

出典|小学館 日本大百科全書(ニッポニカ) この辞書の凡例を見る
(C)Shogakukan Inc.
それぞれの解説は執筆時点のもので、常に最新の内容であることを保証するものではありません。

世界大百科事典内の破傷風の言及

【病気】より

…初期に考えられていた病変を起こす気は外界にある邪気で,風とか湿のような形をとって体内に侵入するとした。とくに重視されたのは風邪(ふうじや)であって,たとえば中風はもとは風邪によって起こされた発熱性疾患であり,破傷風は傷口に風邪が侵入して起こった病気という考えであった。したがって,その治療にも薬物などのほかにまじないが重視された。…

※「破傷風」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社日立ソリューションズ・クリエイト
All Rights Reserved. Copyright (C) 2015, Hitachi Solutions Create,Ltd. 収録データは1998年10月に編集製作されたものです。それぞれの用語は執筆時点での最新のもので、常に最新の内容であることを保証するものではありません。また、本文中の図・表・イラストはご提供しておりません。

破傷風の関連キーワードフルクタンフルクトース何心地不死身プリマドンナドンナフルクトキナーゼフルクトサンフルクトピラノースビブリオ・フルビアリス食中毒

今日のキーワード

平野美宇

卓球選手。2000年4月14日、静岡県生まれ、山梨県育ち。3歳で卓球を開始。07年に小学1年生で全日本選手権大会バンビの部優勝、09年に小学2年生で同大会ジュニアの部初出場を果たし、注目を集めた。13...

続きを読む

コトバンク for iPhone

破傷風の関連情報