物体に与える衝撃の強さを表す量で、作用した衝撃力とそれが持続した短い時間の積。バットで打ち返されたボールのように、運動する物体の速度が瞬間的に大きく変化する場合が少なくない。自動車の衝突なども同様である。たとえば、ボールに与えた衝撃力を、力が働いている短い時間Δ(デルタ)tの間は一定の力Fであったとする。バットで打つ前後のボールの速度をv、v´と表すと、「質量(m)に速度の時間変化を掛けたものは、そのとき働く力に等しい」というニュートンの運動法則の式は、
m×(v´-v)/Δt=F
となる。この式を書き改めると
mv´-mv=FΔt
となる。左辺は打撃によるボールの運動量の変化である。衝撃の強さは動いてきた物体の速度の変化と質量に比例するので、質量と速度の積である運動量が、運動の激しさを表す量となる。この式は一般に成立して、「運動量の変化は、衝撃力とその力の持続時間の積に等しい」ことを示している。ここで現れた「力×持続時間」を力積(インパルス)とよんでいる。力積は短い時間のみ大きな力が働く場合に有用な量である。前記の式はわれわれの経験とよく一致している。たとえば、硬い床板の上に落としたコップは割れやすいが、ふとんの上に落としたコップは割れにくいことなどである。
[池田清美]
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報
出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報
出典 株式会社平凡社百科事典マイペディアについて 情報
10/29 小学館の図鑑NEO[新版]動物を追加
10/22 デジタル大辞泉を更新
10/22 デジタル大辞泉プラスを更新
10/1 共同通信ニュース用語解説を追加
9/20 日本大百科全書(ニッポニカ)を更新
7/22 日本大百科全書(ニッポニカ)を更新