力草(読み)ちからぐさ

精選版 日本国語大辞典 「力草」の意味・読み・例文・類語

ちから‐ぐさ【力草】

[1] 〘名〙
植物おひしば(雄日芝)」の異名。《季・秋》 〔和漢三才図会(1712)〕
② 植物「かぜくさ(風草)」の異名。〔和爾雅(1688)〕
③ 植物「ちからしば(力芝)」の異名。〔重訂本草綱目啓蒙(1847)〕
④ 鷹が、捕えた鳥の飛びたつのを防ぐため片方の足でつかむ地上の草。
日葡辞書(1603‐04)「Chicaragusauo(チカラグサヲ) トル〈訳〉鷹が大きな鳥を捕えた時、引張られないように片方の足で獲物を抑え、もう一方の足で草をつかむ。比喩として、人を信頼する」
⑤ (「力種」とも。④から転じて) 力になるものとしてたのみにする草。また、たのみにするもの。ささえとなるもの。
※俳諧・毛吹草追加(1647)上「門松春風の手のちから草〈空存〉」
※花物語(1908)〈寺田寅彦〉一「砂は足元から崩れ、力草と頼む昼顔は脆くちぎれてすべりおちる」
[2] 三味線音楽の古楽譜。大庭巴流著。宝暦一二年(一七六二)刊。正式の書名は「音曲力草」。地歌の端歌物を譜と奏法の補助記号とで示した。

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デジタル大辞泉 「力草」の意味・読み・例文・類語

ちから‐ぐさ【力草】

オヒシバ別名
(「力種」とも書く)頼りになるもの。力と頼むもの。
「砂は足もとからくずれ、―と頼む昼顔はもろくちぎれてすべりおちる」〈寅彦・花物語〉
タカが捕らえた鳥の飛び立つのを防ぐために片方の足で力を入れてつかむ草。〈日葡

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動植物名よみかた辞典 普及版 「力草」の解説

力草 (チカラグサ)

植物。イネ科多年草カゼクサ別称

力草 (チカラグサ)

植物。イネ科の一年草。オヒシバの別称

出典 日外アソシエーツ「動植物名よみかた辞典 普及版」動植物名よみかた辞典 普及版について 情報

世界大百科事典(旧版)内の力草の言及

【オヒシバ】より

…和名の雄日芝は細い雌日芝に対するもので,強靱な植物体を意味し,日芝は牧野富太郎によれば夏の炎天下にも盛んに繁茂する草の意である。オヒシバは非常に抜きにくいので,力草(ちからぐさ)ともいう。雑草であるが,食料不足の時にインドなどで食用にされたし,熱帯域では牧草とされる。…

※「力草」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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