労農救援会(読み)ろうのうきゅうえんかい

改訂新版 世界大百科事典 「労農救援会」の意味・わかりやすい解説

労農救援会 (ろうのうきゅうえんかい)

社会運動の犠牲者や自然災害などをうけた労働者・農民救援を目的とする組織。1927年の野田醬油争議を直接の契機に,超党派的大衆団体として28年4月,解放運動犠牲者救援会が結成された(会長安部磯雄)。結成直前の三・一五事件翌年四・一六事件とつづく日本共産党弾圧事件のなかで同会は左翼系活動家によって担われるようになり,30年8月日本赤色救援会と改称,国際赤色救援会MOPR(モツプル)(Mezhdunarodnoe obshchestvo pomoshchi revolyutsiiの略)に加盟した。同会は治安維持法違反事件関係の公判闘争のほか,労働争議や小作争議検挙者への差入れ慰問,弁護士派遣やその家族への援助活動を展開した。なお,31年10月には労働者・農民の生活擁護の組織として日本労農救援会準備会(準備会のままとどまる)が結成され,無産者病院,託児所,食堂の設立や,経済的援助などを方針としてかかげている。しかし33年以降幹部のあいつぐ検挙のため,これらの救援会は破壊され,34年6月の75号を最後に《救援新聞》も停刊した。35年には東京江東区で再建運動があったが,37年5月救援会事務所は閉鎖され,戦前救援会運動は終りをつげた。第2次大戦後の45年10月,解放運動犠牲者救援会の名称で運動が再開され,政治犯の釈放運動にとり組んだ。その後,勤労者生活擁護協会(1946年1月),労農運動救援会(1947年1月),日本労農救援会(1948年12月)と改組され,51年11月には日本国民救援会と改称し,松川事件,三鷹事件ほか一連の弾圧事件の救援活動にとり組んでいる。
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出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報

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