飼育動物の診療を目的として、獣医師が開設した病院(診療施設)をいう。
飼育動物のなかでも、ウシ、ウマまたはブタなどの大きい動物、とくに産業家畜とよばれる動物を専門に扱う場合は「家畜病院」、愛玩(あいがん)動物、とくにイヌまたはネコを対象の場合は「犬猫病院」「ペットクリニック」とよぶこともあり、ほかに「獣医科病院」「アニマルクリニック」などの呼称もあり、名称に関する規定はない。
また、大学設置基準において獣医学教育に必置とされる施設として、大学附属の動物病院がある。
獣医師の診療業務については、獣医師法(昭和24年法律第186号)により規定されていたが、診療施設の開設および管理等については、法律上の規定がなかった。1992年(平成4)獣医師法の改正と同時に制定された獣医療法(平成4年法律第46号)により診療施設等についての法規制がなされた。
獣医師は診療所の開設にあたり、場所、施設や設備の概要など、農林水産省令で必要とされる事項を都道府県知事に届け出なくてはならないが、人間を対象とする病院と異なり、診療科目についての規定はなく、動物全般にわたり、また疾病全科にわたり診療や手術、保健衛生指導などを行うことになる。診療施設の構造設備の基準も定められており、飼育動物の逸走を防止するために必要な設備を設けなくてはならない。伝染病への感染防止、調剤上の定め、放射線の防護の設備基準なども定められている。
飼育動物の診療には繊細な心遣いが要求され、技術的にも動物の個性にあわせた加療が行われるように専門化されている。また、イヌにはヒトや他の動物にも感染する狂犬病があり、狂犬病予防法によって登録申請、予防注射が義務づけられている。
[本好茂一]
…主として家庭で愛玩用に飼われている動物の診療を行う動物病院。各種の動物を愛玩の目的で飼育する際,その動物が病気にかかると,獣医師の診断,治療を受けることになる。…
※「動物病院」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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