勝山村(読み)かつやまむら

日本歴史地名大系 「勝山村」の解説

勝山村
かつやまむら

[現在地名]鋸南町勝山

龍島りゆうしま村の南に位置し、房総往還が通る。地名は古くは加知山・賀知山と書き、カチヤマとよんだ。また近世初期には二浜にはま村の称もあった。西は海(浦賀水道)に面して入江が発達し、沖にはうき島が浮ぶ。入江と天然の防波堤の役目を担う浮島の存在とがあいまって、隣接する猟島(龍島)などとともに早くから入海(東京湾・浦賀水道)の主要な湊として開けていたものと考えられる。浮島は平安初期に成立した「高橋氏文」に景行天皇行幸の伝承が載せられ、下って戦国期には妙本みようほん寺住持日我が一時身をよせるなど(妙本寺文書)、その景観と併せて古くから当地方の特殊な地として意識されていた可能性もある。徳川光圀は延宝二年(一六七四)安房を訪れ、「甲寅紀行」に浮島を「岩石嶢屹、秀奇にして多景」と記している。また戦国期には現在の勝山漁港を取囲むように勝山城が築かれており、同城は当時の入海における典型的海城(湊城)であったとみられる。

〔中世〕

文明一八年(一四八六)九月初旬頃、京都聖護しようご院門跡道興は、那古なご(現館山市)を立って野島のじま(現白浜町)を眺め、当地で「駒はあれとかちよりそゆくかち山の里にこはたそ思ひやらるゝ」と詠み、河名(元名)へ向かった(廻国雑記)。勝山城は天正一八年(一五九〇)頃の年月日未詳関八州諸城覚書(毛利家文書)によれば正木安芸守の居城であった。正木安芸守は勝浦や小田喜おだき(現大多喜町)に拠った正木氏とは別系統で、おそらく正木兵部大輔や正木淡路守などに代表される内房正木氏に連なる人物と考えられる。天正一八―一九年の頃、正木安芸守の非法を妙本寺住持日侃が里見氏に愁訴しており(月日未詳「日侃書状案」妙本寺文書)、里見氏の領国支配体制の一端がうかがえる。


勝山村
かつやまむら

面積:四・二六平方キロ

郡の西部に位置する。河口かわぐち湖の南西岸にあり、北部に同湖の一部を含む。東西約一・八キロ、南北約五・八キロの細長い村域をもち、行政区域は県内で最も小さい。標高は八三〇―一〇六〇メートル、南は富士山裾野原野、北から東は河口湖かわぐちこ町、南側と西側は鳴沢なるさわ村、北西は足和田あしわだ村。富士山からの溶岩流が湖水に落込む斜面に集落があり、一段高い台地上に農耕地が開けている。北西部の足和田大嵐おおあらしに近い小海こうみ地区には、羽根子はねこ山とよばれる足和田山(一三五五メートル)の尾根の末端が延びている。集落の南側に接して国道一三九号が通じていたが、近年その南に建設されたバイパスが一三九号となり、旧国道は県道となった。湖畔には松林があり景勝の地である。


勝山村
かつやまむら

[現在地名]上野村勝山

北に高反たかぞり(一一三〇・六メートル)を負い、南境を神流かんな川が蛇行しつつ東流、東は尾附おづく(現中里村)、北は平原へばら(現同上)、南は新羽につぱ村・野栗沢のぐりさわ村、西は乙母おとも村・川和かわわ村と接する。十石じつこく街道が東部の枝村向屋こうやでは神流川に沿い、本村では村央を東西に抜ける。古は梶山かじやま村と称していたが(貞享四年「新羽村質地永高帳」茂木文書など)、多発していた火事に勝つために勝山に改めたという。向屋は泉龍せんりゆう寺蔵の大般若経巻一三一の永徳元年(一三八一)八月八日の奥書にみえる寄進者いや四郎の在所「こうや」や、巻四一六の同二年三月二六日の奥書にみえる「上州上山庄之内紺屋住」、巻四二〇の同年の奥書にみえる書写した在所の「紺屋」に比定される。


勝山村
かつやまむら

[現在地名]坂祝町勝山

木曾川右岸河岸段丘上にあり、地内で迫間はさま川が木曾川に合流する。東は取組とりくみ村、西は鵜沼うぬま(現各務原市)迫間村(現関市)、南は木曾川を隔て栗栖くるす(現愛知県犬山市)、北は深萱ふかがや村・黒岩くろいわ村。「かちやま」とも読む。古くは猿啄さるばみ村と称した。永禄八年(一五六五)八月織田信長は美濃に攻入り、「先猿尾の山城をせめ落して、初軍よしと悦ひて、さる尾を改て勝山とそ名付けり」とある(堂洞軍記)。この猿尾山城は猿啄城のことという(美濃雑事紀)。落城後河尻鎮吉が入城し(美濃明細記)、この頃城下町が形成され、北新町・中新町などの小字名はその名残と伝える(坂祝村誌)


勝山村
かつやまむら

[現在地名]勝山村 勝山・小海こうみ

東は木立こだち村・船津ふなつ(現河口湖町)、南から西は成沢なるさわ(現鳴沢村)大嵐おおあらし(現足和田村)、北西から北は河口かわぐち湖。枝郷に小海がある(甲斐国志)。「勝山記」明応七年(一四九八)の記事によると、八月二五日の大地震に続いて二八日には大雨・大風があり、「アシワタ小海」の岩が流れて白山になったという。

出典 平凡社「日本歴史地名大系」日本歴史地名大系について 情報

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