十六羅漢(読み)ジュウロクラカン

デジタル大辞泉 「十六羅漢」の意味・読み・例文・類語

じゅうろく‐らかん〔ジフロク‐〕【十六羅漢】

釈迦の命により、この世に長くいて正法を守り、衆生しゅじょうを導く16人の大阿羅漢賓度羅跋羅堕闍ひんどらばらだじゃ迦諾迦伐蹉かなかばしゃ迦諾迦跋釐堕闍かなかばりだしゃ蘇頻陀そびんだ諾矩羅なくら跋陀羅ばだら迦理迦かりか伐闍羅弗多羅ばじゃらふつたら戍博迦じゅはか半托迦はんだか羅怙羅らこら那伽犀那なかさいな因掲陀いんかだ伐那婆斯ばなばし阿氏多あした注荼半吒迦ちゅうだはんだか

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精選版 日本国語大辞典 「十六羅漢」の意味・読み・例文・類語

じゅうろく‐らかん ジフロク‥【十六羅漢】

仏語。仏の命を受けて、ながくこの世にとどまって、正法を守護するという一六人の阿羅漢。賓度羅跋羅惰闍(ひんどらばっらだじゃ)・迦諾迦跋蹉(かだくかばさ)・迦諾迦跋釐惰闍(かだくかばりだじゃ)・蘇頻陀(そびんだ)・諾距羅(なくら)・跋陀羅(ばだら)・迦理迦(かりか)・伐闍羅弗多羅(ばしゃらふったら)・戍博迦(じゅはか)・半託迦(はんだか)(周梨槃特)・羅怙羅(らごら)・那伽犀那(なかさいな)・因掲陀(いんかだ)・伐那婆斯(ばなばし)・阿氏多(あした)・注荼半託迦(ちゅだはんだか)の一六人の尊者の総称。ただし、経典により名称に多少の差異がある。
参天台五台山記(1072‐73)五「上階殿五髻文殊菩薩丈六像十六羅漢観自在

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「十六羅漢」の意味・わかりやすい解説

十六羅漢
じゅうろくらかん

世にとどまって仏法を護持する16人の羅漢(阿羅漢(あらかん))。(1)賓度羅跋囉惰闍(びんどらばらだじゃ)、(2)迦諾迦伐蹉(かなかばっさ)、(3)迦諾迦跋釐堕闍(かなかばりだじゃ)、(4)蘇頻陀(そびんた)、(5)諾距羅(なくら)、(6)跋陀羅(ばっだら)、(7)迦理迦(かりか)、(8)伐闍羅弗多羅(ばざらほったら)、(9)戍博迦(じゅばか)、(10)半託迦(はんだか)、(11)囉怙羅(らこら)、(12)那伽犀那(ながさいな)、(13)因掲陀(いんがだ)、(14)伐那婆斯(ばなばし)、(15)阿氏多(あした)、(16)注荼半託迦(ちゅうだはんたか)をいう。十六羅漢の思想の起源は明らかでない。第1番目の賓度羅跋囉惰闍(賓頭盧(びんずる))が仏陀から世にとどまれと命ぜられたことは『雑阿含経(ぞうあごんきょう)』にみられる。『弥勒下生経(みろくげしょうきょう)』には、大迦葉(だいかしょう)、(君)屠鉢歎(どばったん)、賓頭盧、羅云(らうん)の4比丘(びく)が仏法の滅亡ののちに涅槃(ねはん)するよう命ぜられたことが記されている。玄奘(げんじょう)訳『法住記』に十六羅漢の名が列記され、以後中国日本で「十六羅漢像」が盛んに描かれるようになり、敦煌(とんこう)にも五代ごろの壁画がある。

[定方 晟]

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「十六羅漢」の意味・わかりやすい解説

十六羅漢
じゅうろくらかん

仏教を護持しようと誓ったとされる 16人の羅漢。羅漢は阿羅漢の略で,供養に値する人の意。『法住記』が漢訳されて以来,おもに禅宗で尊ばれ,彫刻絵画題材ともなった。

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世界大百科事典(旧版)内の十六羅漢の言及

【五百羅漢】より

…500人の羅漢およびその群像。十六羅漢という呼称もある。十六羅漢は,仏法を護持することを誓った16人の仏弟子で,五百羅漢は,仏の滅後に行われた第1回目の経典編纂(結集(けつじゆう))に集まった仏弟子を指すといわれる。…

【羅漢】より

…釈迦の直弟子のうち高位のものはみな阿羅漢で,舎利弗(しやりほつ),目連(もくれん),迦葉(かしよう)などがいる。阿羅漢をまとめ,十六羅漢や五百羅漢に対する信仰も生じた。小乗仏教においては,阿羅漢は仏弟子の到達する最高の階位とされ,これ以上修すべきものがないという意味で無学ともいう。…

※「十六羅漢」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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