千戸別所(読み)せんどべつしよ

日本歴史地名大系 「千戸別所」の解説

千戸別所
せんどべつしよ

[現在地名]大山田村千戸

千戸の西方西谷にしたにを中心とする地域を推定。東は田園が開け、西・北は山を背負い、その一つ火燃ひともし山から伊賀国一宮の裏山南宮なんぐう(三五〇メートル)に連なる。

金沢文庫蔵古文書の第二二七号に「件ノ本ハ勝保院法印御房下向之剋、奉進畢、文永九年
四月卅日於伊州千戸別所 辰剋、以聖天御自筆本書写了 金剛仏子 照海 在判」、また同第二六六四号に「永仁四年十二月十二日 於伊州上乗院奉授于朝深 尊空御房 伝授阿闍梨 照海 生年五十一」とある。また吉野山桜本さくらもと(現奈良県吉野町)所蔵の正応二年(一二八九)四月二八日、一日頓写の古写経の奥書に「於伊賀国山田郡清浄光寺一部六百巻一日頓写(中略)金剛仏子照海 春秋四十四」とあり、照海四四歳の時、山田郡清浄光しようじようこう寺に在住している。「大乗院寺社雑事記」の文明一九年(一四八七)五月一一日の条に「北伊賀ノ千度の清浄光院」とあり、千戸別所がこの地に存し、清浄光寺がその一寺院であることが立証される。同寺については、古く寛喜三年(一二三一)の阿達磨倶舎論巻一二(東大寺図書館蔵)に「寛喜三年五月七日 於伊州山田郡清浄光院小泉房書写了 留贈後見 共期仏恵」の識語がある。「三国地志」には

<資料は省略されています>

とあって、清浄光寺は僧覚弁の授講の寺で、かつ往生おうじよう院とよぶ寺院があり、この寺の本願平家の肥後守定(貞)能であると伝承を記している。

出典 平凡社「日本歴史地名大系」日本歴史地名大系について 情報

今日のキーワード

自動車税・軽自動車税

自動車税は自動車(軽自動車税の対象となる軽自動車等および固定資産税の対象となる大型特殊自動車を除く)の所有者に対し都道府県が課する税であり、軽自動車税は軽自動車等(原動機付自転車、軽自動車、小型特殊自...

自動車税・軽自動車税の用語解説を読む

コトバンク for iPhone

コトバンク for Android