千手院谷(読み)せんじゆいんだに

日本歴史地名大系 「千手院谷」の解説

千手院谷
せんじゆいんだに

五之室ごのむろ谷の東端を南北に通る谷で、南は小田原おだわら谷に至る一帯の地域。「続風土記」に「小田原谷の北にあり、此界に板橋を架す、是を千手院橋といふ、其北に千手観音堂あり、依りて地名とす、天神小路・観音小路の小名あり、寺院其内にあるもの総て四十八宇」とある。天神てんじん小路は五之室谷から東へ延びる谷で、東端には国城こくじよう院の鎮守とされた天満宮(天神社)があった。高野聖の三大集団の一つであった千手院聖(時衆聖)の本拠地とされ、一遍の開創と伝える国城院を中心に集まった。小田原谷より入る所に架かる千手院橋の付近は、中世には繁華な地帯であったらしく、応永二一年(一四一四)二月二二日の高野山禁制案(宝簡集)はその端書に「旅人引制札案文 千手院口ニ立ツベシ」とある。

出典 平凡社「日本歴史地名大系」日本歴史地名大系について 情報

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