① リンドウ科の二年草。本州・九州・朝鮮・中国の山野の日当たりのよい草地に生える。高さ二〇~三〇センチメートル。茎は四角柱状で暗紫色を帯びる。葉は対生し長さ三センチメートル内外の線状披針形。秋、茎頂や上部の葉腋に白色で紫脈のある花をつける。花冠は径約二センチメートルで深く五裂する。全草を乾燥したものを当薬(とうやく)といい、古くから健胃薬として用いられている。また、衣類の染料として用いれば、虫除けとなる。千回煎(せん)じて振り出しても苦味が残るということからこの名がある。とうやく。《 季語・秋 》 〔大和本草(1709)〕
[初出の実例]「千振の外に立ゆく胡蝶哉」(出典:妻木(1904‐06)〈松瀬青々〉秋)
② アミメカゲロウ(脈翅)目センブリ科の昆虫。体長約一五ミリメートル、はねの開張三センチメートルぐらい。ヘビトンボに似ているが、はるかに小さく、単眼がない。体は黒色。はねは幅広く、暗色で半透明。初夏のころ水辺を静かに飛ぶ。幼虫は小川の底に埋まってすみ、食肉性。北海道、シベリア、ヨーロッパ北部に分布する。本州に分布するのは近縁種のヤマトセンブリ。〔日本昆虫学(1898)〕