南小泉遺跡(読み)みなみこいずみいせき

日本歴史地名大系 「南小泉遺跡」の解説

南小泉遺跡
みなみこいずみいせき

[現在地名]仙台市遠見塚一―二丁目ほか

霞目かすみのめ飛行場と遠見塚とおみづか小学校を中心とする広大な遺跡で、立地は標高一〇メートルの沖積平野。昭和一四年(一九三九)から同一六年にかけての飛行場の拡張工事に伴い、土の断面に姿を現した竪穴住居跡は一〇〇を超え、遺物弥生時代古墳時代のものがある。弥生時代のものは中期のものが多く、甕・壺・高坏などの器種があり、変形工字文と磨消縄文で飾られる。石器は石包丁をはじめ、棒状蛤刃石斧・片刃石斧・鑿状石斧・有角石斧など弥生時代に特有なものがみられる。また合口甕棺も少なくとも一五基あり、うち三基は密集していたというので、墓域を構成していたのであろう。古墳時代の土器は竪穴住居跡から発見された土師器が最も多く、甕・壺・高坏・器台・甑などがある。

出典 平凡社「日本歴史地名大系」日本歴史地名大系について 情報

改訂新版 世界大百科事典 「南小泉遺跡」の意味・わかりやすい解説

南小泉遺跡 (みなみこいずみいせき)

仙台市若林区遠見塚1,2丁目,古城3丁目にあり,沖積平野に立地する弥生時代と古墳時代を中心とする広大な遺跡。1939年から41年にかけて,霞目飛行場の拡張工事で多数の遺物が出土して学界の注目を集めた。弥生時代の土器は中期の桝形囲式がもっとも多く,籾痕のついた土器片,石庖丁,棒状蛤刃石斧,片刃石斧,石のみ,有角石斧などを伴出している。また,この時期の合口甕棺が一定のせまい地域から15組発見され,そこが共同墓地であったと推定された。古墳時代の遺物としては土師器が多数出土し,その中の一群は南小泉式の名称で東北地方の古墳時代中期の標式資料とされている。また,工事の際に100をこえる竪穴住居跡が発見されたが,その多くは古墳時代のもので,そこから土師器や石製模造品が出土した。遺跡の範囲には全長110mの前方後円墳である遠見塚(とおみづか)古墳がふくまれている。
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