南無(読み)ナム

デジタル大辞泉 「南無」の意味・読み・例文・類語

なむ【南無】

《〈梵〉namas音写。南摩・納莫などとも音写。敬礼きょうらい帰命きみょうと訳す》仏語。仏・菩薩ぼさつに向かって、心からの帰依を表す語。その名を呼ぶときに冠する。

なも【南無/那×謨】

[感]なむ(南無)」に同じ。
「―当来導師とぞ拝むなる」〈夕顔

出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例

精選版 日本国語大辞典 「南無」の意味・読み・例文・類語

なむ【南無】

  1. [ 1 ] 〘 名詞 〙 ( [梵語] namas の音訳。南摩・南謨・納莫などとも音訳。もと「敬礼」の意で「帰命(きみょう)」などと訳す ) 仏語。仏や三宝などに帰依(きえ)することを表わすことば。なも。
    1. [初出の実例]「一称南無無是善」(出典:勝鬘経義疏(611)一乗章)
  2. [ 2 ] 〘 感動詞 〙
    1. 相手に助けを求める時などに発することば。
      1. [初出の実例]「南無女房ちちをのませに化て来ひ」(出典:雑俳・柳多留拾遺(1801)巻九)
    2. 深く考えないで思い切って行動する時に発することば。
      1. [初出の実例]「なむとは しあんせずにものことをする」(出典:新撰大阪詞大全(1841))

南無の補助注記

( 1 )漢字はいろいろ当てられ、たとえば、「文明本節用集」には「南無 ナム 帰命語也救我也敬順也又南謨南芒南牟南膜南麽納無南莫南忙曩謨那蒙」とある。
( 2 )かな書きの「なも」という例も見られ、漢字で書かれたものの読みについては判然としない。
( 3 )下に続くことばによって、たとえば「南無阿彌陀仏」という場合には「なまみだぶ」と「なま」になることがある。


なも【南無】

  1. 〘 名詞 〙なむ(南無)
    1. [初出の実例]「なもと拝み奉れば」(出典:栄花物語(1028‐92頃)鳥の舞)

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普及版 字通 「南無」の読み・字形・画数・意味

【南無】なむ

頂礼するときの称号

字通「南」の項目を見る

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「南無」の意味・わかりやすい解説

南無
なむ

帰命」のページをご覧ください。

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世界大百科事典(旧版)内の南無の言及

【帰命】より

…サンスクリットのnamasを漢文仏典では帰命とも南無(なむ)とも訳しており,この両語は同じく〈頭を下げ敬意を示すこと〉,帰依(きえ)を意味している。したがって〈帰命頂礼(きみようちようらい)〉(額(ひたい)を地上につけて最敬礼すること)のように身体の動作と,〈至心帰命(ししんきみよう)〉(心中でひたすら帰依すること)の両面をふくんでいる。…

※「南無」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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