単一ヨーロッパ議定書(読み)たんいつよーろっぱぎていしょ(英語表記)Single European Act

日本大百科全書(ニッポニカ) 「単一ヨーロッパ議定書」の意味・わかりやすい解説

単一ヨーロッパ議定書
たんいつよーろっぱぎていしょ
Single European Act

略称SEAヨーロッパ連合EU)の構成基盤であるヨーロッパ共同体EC)加盟国が、市場統合のためにローマ条約(ヨーロッパ経済共同体設立条約。1957年調印)を改定したもの。1986年2月に調印、87年2月に発効した。92年末までに人、物(商品)、カネ(資本)、サービスについて、加盟国間の国境障壁を撤廃して移動の自由を実現するための基本的な取り決めが盛り込まれた。従来の全会一致方式を改めて特定多数方式を導入したところに特色がある。これにより市場統合への動きが加速され、史上初めての国境のないヨーロッパ単一市場は予定どおり93年1月に発足した。

[横山三四郎]

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「単一ヨーロッパ議定書」の意味・わかりやすい解説

単一ヨーロッパ議定書
たんいつよーろっぱぎていしょ
Single European Act; SEA

ヨーロッパ共同体 ECの基本条約であるローマ条約を改正し,ECの機構改革,政策領域の明確化・拡張を内容とする議定書。 1985年6月に採択,86年2月に調印,87年7月に発効した。 85年6月に EC委員会によって発表された「域内市場統合白書」に基づき,EC市場統合の 92年末完了をめざす方針が明記された。さらに機構改革としては,諸機関の権限を整理し,EC委員会の権限強化,理事会への特定加重多数決制の導入,ヨーロッパ議会と理事会との共同決定権の導入,ヨーロッパ理事会とヨーロッパ政治協力の制度化,EC司法裁判所下級審の設置などが規定された。また,対外政策と安全保障政策,社会政策,環境政策,研究・技術開発などの分野を ECの政策領域とした。なお,93年 11月通貨同盟の結成を明記したマーストリヒト条約が発効し,SEAはその役割を終えた。

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