デジタル大辞泉 「厚物咲」の意味・読み・例文・類語 あつものざき【厚物咲】 中山義秀の短編小説。昭和13年(1938)発表。同年、第7回芥川賞受賞。題名の厚物咲は、分厚く花弁の多い鑑賞菊のこと。 出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例
精選版 日本国語大辞典 「厚物咲」の意味・読み・例文・類語 あつもの‐ざき【厚物咲】 〘 名詞 〙 =あつもの(厚物)②[初出の実例]「花弁のがっしり盛上って雄渾な味ひのする平弁の厚物咲」(出典:厚物咲(1938)〈中山義秀〉) 出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報 | 凡例
日本大百科全書(ニッポニカ) 「厚物咲」の意味・わかりやすい解説 厚物咲あつものざき 中山義秀(ぎしゅう)の短編小説。『文学界』1938年(昭和13)4月号に掲載、同年9月、小山書店刊の同名の短編集に収録。吝嗇(りんしょく)で守銭奴である片野老人は、片意地に生きたすえ、陋屋(ろうおく)に縊(くび)れ死ぬが、その足下には片意地の咲かせたみごとな菊の厚物咲が横たわっていた。この片野の数奇な運命をその老友瀬谷が物語る。ここに人間の奇怪な業(ごう)が描写されている。「老人が敗残の人生に耐え、居直つて、菊花に化身してみせるところに、独特の哲学」(瀬沼茂樹)、芸術が認められる。第7回芥川(あくたがわ)賞受賞。[山崎一穎]『『芥川賞全集 2』(1982・文芸春秋)』 出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例