原抱一庵(読み)はらほういつあん

百科事典マイペディア 「原抱一庵」の意味・わかりやすい解説

原抱一庵【はらほういつあん】

小説家,翻訳家。本名余三郎。岩代国(現福島県)生れ。札幌農学校(現北大)に学ぶ。1888年《郵便報知新聞》掲載の森田思軒訳《炭坑秘事》に感銘を受け,思軒の知遇を得て1890年報知新聞社に入社。福島事件に取材しユゴー流の人道主義を背景とした《闇中政治家》を同紙に発表,好評を博した。他に《曇天》《明月》など。翻訳にコリンズ《月珠》,リットン聖人盗賊か》などがある。晩年は不遇であった。

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朝日日本歴史人物事典 「原抱一庵」の解説

原抱一庵

没年:明治37.8.23(1904)
生年:慶応2.11.14(1866.12.20)
明治時代の小説家,翻訳家。本名余三郎。陸奥郡山(福島県)生まれ。二本松藩士柏木喜嘉三の13男。2歳で福島の俳人原太市(袋蜘),町子の養子となる。16歳で中国に渡り,上海の亜細亜学館に入学したが,まもなく帰国して札幌農学校に学んだ。森田思軒に認められ,明治23(1890)年に上京,報知新聞社の文芸記者となった。『新小説』『都の花』などに翻訳,小説を発表し,『闇中政治家』(1891)によって文名をあげる。明治25年思軒と共に退社し,翌年結婚して『仙台自由新聞』の主筆となったが,社が解散。『東京日日新聞』『万朝報』にもかかわったが,いずれも長続きせず,零落のうちに発狂して精神病院で没した。<参考文献>『根岸派文学集』(明治文学全集26巻)

(佐伯順子)

出典 朝日日本歴史人物事典:(株)朝日新聞出版朝日日本歴史人物事典について 情報

デジタル版 日本人名大辞典+Plus 「原抱一庵」の解説

原抱一庵 はら-ほういつあん

1866-1904 明治時代の小説家,翻訳家。
慶応2年11月14日生まれ。森田思軒をたよって上京し,報知社に入社。明治23年小説「闇中(あんちゅう)政治家」を「郵便報知新聞」に連載し名をあげる。のち「仙台自由新聞」の主筆。明治37年8月23日死去。39歳。陸奥(むつ)郡山(こおりやま)(福島県)出身。札幌農学校(現北大)卒。旧姓は柏木。本名は余三郎。訳書にリットン「聖人か盗賊か」など。

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