原爆判決(読み)げんばくはんけつ

日本大百科全書(ニッポニカ) 「原爆判決」の意味・わかりやすい解説

原爆判決
げんばくはんけつ

1963年(昭和38)12月7日、東京地方裁判所民事第24部の言い渡した判決。下田判決ともいう。広島、長崎における原爆被災者、下田隆一(りゅういち)ほか4名の原告は、原爆投下が国際法違反であるにもかかわらず、対日講和条約第19条(a)により日本国が国民の請求権を放棄したため、対米賠償請求が不可能となったから、国が賠償すべきであると主張した。判決は、日本国民のこの種の対米賠償請求権は、講和条約第19条(a)の規定と関係なく、そもそも存在しないものとして原告の請求を退けたが、しかし原爆投下が国際法に違反することは明快に肯定した。すなわち、国際慣習法および各種の条約解釈類推、または国際法の基礎となっている原則に照らして、原爆投下は、確立した軍事目標主義の原則に反し、さらに非人道的兵器の禁止の原則とも両立しないと述べた。国内裁判所による原爆投下の違法性に関する世界で初めての判決として、国際的にも注目された。

[石本泰雄]

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