家庭裁判所が、人事訴訟事件や家事審判事件の裁判の際、国民の考えや意見等を反映させるために、それらの事件に関与させることができる民間人。参与員は、毎年あらかじめ家庭裁判所の選任した者(選任される者の資格、人数などは、最高裁判所規則で定める。家事事件手続法40条6項)のなかから、事件ごとに家庭裁判所が指定する(同法40条5項)。選任される者について特別の資格などは必要ではなく、社会人として徳望良識のある者から選任される(参与員規則1条)。たとえば、弁護士、司法書士などの専門的な資格のある者に限らず、地域社会でさまざまな活動をしていた者なども事件の性質に応じて選任される。なお、禁錮以上の刑に処せられた者、裁判官として弾劾裁判所の罷免の裁判を受けた者などは選任することができない(同規則2条)。参与員には、最高裁判所規則で定める額の旅費、日当および宿泊費が支給される(同法40条7項)。
参与員は、事件によっては、家事審判の手続に立ち会うことができ、意見を述べることができる(同法40条1項・2項・3項)。もっとも、参与員は家庭裁判所の諮問機関であるため、家庭裁判所は参与員の意見に拘束されることはない。なお、裁判の公正さを確保するために、参与員についても、除斥および忌避の手続が設けられている(同法14条)。
[伊東俊明 2016年5月19日]
出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報
…日本の裁判制度には採用されていない。ただ家庭裁判所の家事審判における参与員の制度(家事審判法3条)や,簡易裁判所の民事事件における司法委員の制度(民事訴訟法279条)は,参審のように裁判官と同格で関与するものではないが,民間人を審理に立ち会わせてその意見を参考にする点で,参審制の趣旨に通じる面を持っている。また海難審判における参審員の制度(海難審判法14条)は,学識経験者が審判官と同格で審判に参与する点で参審制に類似している。…
…近年の実績では司法委員が関与した事件は1%ほどしかない。 司法委員と同様の位置を占める存在として家庭裁判所に参与員が置かれている。また主として簡裁で活動する調停委員も,その社会的基盤に共通するものがある。…
※「参与員」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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