取置(読み)とりおき

精選版 日本国語大辞典 「取置」の意味・読み・例文・類語

とり‐おき【取置】

  1. 〘 名詞 〙
  2. 取っておくこと。また、その物。
  3. とりかたづけること。始末すること。処置。処分。
    1. [初出の実例]「早旦当番請取に参内〈略〉御取置以後退出」(出典:言継卿記‐永祿一三年(1570)三月六日)
  4. 特に、死骸をとりかたづけること。葬ること。埋葬。
    1. [初出の実例]「人々是をにくみ、死がいの取置(トリヲキ)にも構はず」(出典:浮世草子・本朝二十不孝(1686)三)
  5. 身の持ち方。やりくり。暮らし方。
    1. [初出の実例]「鴨の長明が孔子くさき身のとり置(ヲキ)も、門前の童部にいつとなくたはれて」(出典:浮世草子・好色一代男(1682)一)
  6. とっておき。特別。
    1. [初出の実例]「禽獣の声をさとりて又男(ゆうなん)が取置(トリヲキ)つらがまへに移せし三十三じんの替りたるかづき物」(出典:評判記難波の㒵は伊勢白粉(1683頃)二)

とって‐おき【取置】

  1. 〘 名詞 〙
  2. 貴重品などを大事にしまっておくこと。後日、いざというときの用意のために品物などをたくわえておくこと。ことのほか大切にしておくこと。また、そのもの。とっとき。
    1. [初出の実例]「若君の御大事と、取て置きの臍繰分別」(出典:浄瑠璃・甲賀三郎窟物語(1735)四)
  3. ( 大事にして人前に出したがらない人の意 ) 秘蔵の人。愛人。おもいもの。愛妾
    1. [初出の実例]「あの奥の杉戸を引ひらいて、取(トッ)て置(ヲキ)の女躰の姿おがみたし」(出典:浮世草子・傾城色三味線(1701)鄙)
  4. 特に、大事にしまっておいてまれに着る着物。はれぎ。いっちょうら。
    1. [初出の実例]「五十余りの女房の、とってをきをばぬらさじと」(出典:浄瑠璃・心中刃は氷の朔日(1709)上)

とっとき【取置】

  1. 〘 名詞 〙とっておき(取置)」の変化した語。
    1. [初出の実例]「とっときを着そろふ嫁の酒迎」(出典:雑俳・田植笠(1723か))

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報 | 凡例

今日のキーワード

プラチナキャリア

年齢を問わず、多様なキャリア形成で活躍する働き方。企業には専門人材の育成支援やリスキリング(学び直し)の機会提供、女性活躍推進や従業員と役員の接点拡大などが求められる。人材の確保につながり、従業員を...

プラチナキャリアの用語解説を読む

コトバンク for iPhone

コトバンク for Android