杉戸(読み)スギト

デジタル大辞泉 「杉戸」の意味・読み・例文・類語

すぎと【杉戸】

埼玉県北葛飾郡の地名。古利根ふるとね川東岸に位置する。もと日光街道宿場町

すぎ‐ど【杉戸】

杉の一枚板鏡板として入れた板戸花鳥画などを描いたものもあり、縁回りなどに用いられた。
江戸時代品川遊郭で、見世と奥の境にある杉の板戸。また、そこにいる下級遊女

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精選版 日本国語大辞典 「杉戸」の意味・読み・例文・類語

すぎ‐ど【杉戸】

  1. 〘 名詞 〙
  2. 杉の一枚板、または黒塗りの框(かまち)に杉の板をはめこんで作った戸。花鳥画を描いたものもある。廊下縁側などに多く使う。杉障子。杉の門(かど)
    1. [初出の実例]「折しも杉戸(スギト)一重のあなたに爪音しめやかにしのびごまして、さうがしほらしく聞えけるを」(出典:浮世草子・新御伽婢子(1683)三)
  3. 江戸時代、品川宿遊女屋張見世の下座の後ろにあった杉の板戸。転じて、その杉戸の前にすわっている下等な遊女。品川の安女郎
    1. [初出の実例]「日のながい事と杉戸に寄かかり」(出典:雑俳・柳多留‐六(1771))

すぎと【杉戸】

  1. 埼玉県東部の地名。古利根(ふるとね)川の自然堤防上にあり、渡船場として発達。奥州街道粕壁(かすかべ)春日部)と幸手(さって)の間にあった旧宿駅。

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改訂新版 世界大百科事典 「杉戸」の意味・わかりやすい解説

杉戸[町] (すぎと)

埼玉県東部,北葛飾郡の町。人口4万6923(2010)。利根川中流の低地を占め,東を江戸川,西を古利根川が南流する。中心集落の杉戸は古利根川の自然堤防上にあり,古来,交通の要地であった。江戸時代には日光道中の宿場町で,明治~大正期には郡役所が置かれていた。米作を中心とした農村であったが,1960年代後半から人口がふえ,東武日光線が通り,東京方面への通勤者も多い。西部を走る国道4号線沿線には食品や機械・金属関係の工場が進出している。永福寺の〈どじょうせがき〉は関東三大施餓鬼の一つに数えられている。
執筆者:

日光道中第5次の宿場。江戸から10里余。《源平盛衰記》の〈杉ノ渡〉を当所に比定しているが確かでない。古くは下総国に属したが,1641年(寛永18)ころ武蔵国に編入され葛飾郡幸手(さつて)領のなかにあった。街道に沿って町並みがつくられた町内は,上宿,中町,下町,新町と区分され,名主を兼帯した問屋が3名,年寄が7名交代で伝馬業務をつとめた。古くから5・10の日の六斎市が立ち,近郷商圏の中心として繁盛した。1843年(天保14)調べの《宿村大概帳》によると,戸数は365戸,人口1663人,旅籠屋は本陣,脇本陣を含め49軒を数えた。江戸時代を通じて天領,明治以降伝馬制度の廃止で宿場機能は失われたが,商業都市として存続した。
執筆者:

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「杉戸」の意味・わかりやすい解説

杉戸(町)
すぎと

埼玉県東部、北葛飾郡(きたかつしかぐん)にある町。1889年(明治22)町制施行。1955年(昭和30)高野(たかの)、堤郷(ていごう)、田宮(たみや)の3村と合併。1957年泉村を編入。東を江戸川、西を古利根川(ふるとねがわ)に挟まれた沖積低地で、中心地区は古利根川の自然堤防上にある。東部稲作地域の中核をなし、水田面積が広く、米の収穫高が多い。江戸時代は奥州街道の宿場町で、5、10の日には市(いち)が立った。東武鉄道日光線が通り、日光線と伊勢崎(いせさき)線が分岐する東武動物公園駅(宮代(みやしろ)町)が近隣駅で、1986年に杉戸高野台駅が開設された。国道4号が走っている。米作中心で酪農、施設園芸も行われているが、都心から40キロメートルに位置するため、近年宅地開発や人口流入に伴い、首都圏の住宅地域として発達しつつある。永福(えいふく)寺は「どじょう施餓鬼(せがき)」で知られる。面積30.03平方キロメートル、人口4万3845(2020)。

[中山正民]

『『杉戸町歴史散歩』(1976・杉戸町)』『『杉戸町史』全7巻(2001~2005・杉戸町)』


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百科事典マイペディア 「杉戸」の意味・わかりやすい解説

杉戸[町]【すぎと】

埼玉県東部,北葛飾(きたかつしか)郡の町。西境の古(ふる)利根川左岸に日光街道の宿町として発達した主集落がある。米,麦,野菜を産する。宅地開発によって人口が増加し,住宅都市としての性格が強まっている。30.03km2。4万6923人(2010)。

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世界大百科事典(旧版)内の杉戸の言及

【帯戸】より

…木の一枚板を上下左右の框(かまち)で固定した板戸を〈杉戸〉と呼び,書院造の住宅で,広縁(ひろえん)など直接外気に面する部分の間仕切建具に絵を描くために考え出されたものである。この杉戸の,上下框の中ほどに幅の広い横桟を入れたものを〈帯戸〉〈帯桟戸〉といい,江戸時代中期以降,民家の間仕切りの戸として盛んに用いられるようになる。…

【戸】より

…仏堂や寝殿造の内部では〈透遣戸(すきやりど)〉と呼ばれる引違いの格子も使われた。このほか桟のない,現在〈杉戸〉と呼ばれるものや,中央に1本の帯を入れた〈帯戸〉なども後には使われるようになる。平安後期には〈(ふすま)〉が登場し,〈明障子(あかりしようじ)〉(現在の障子)が現れるのも平安末期である(図3)。…

※「杉戸」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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