古典教育(読み)こてんきょういく(その他表記)classical education

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「古典教育」の意味・わかりやすい解説

古典教育
こてんきょういく
classical education

欧米の近代教育におけるギリシア語ラテン語およびそれらの言語によって著わされた学芸の教授,学習。中等高等教育基盤ともいうべき地位を占めていた。その理由として,ギリシアローマ文明西欧文明源泉であり,近代西欧文化はギリシア,ラテン語の知識なしには十分な理解ができないこと,ギリシア,ローマの文明を近代まで保持し伝承したのはおもにキリスト教会であり,特にカトリック教会はラテン語を公用語としていること,西欧の主要大学の多くは中世に端を発し,その伝統を現在まで継承しており,いろいろな面でギリシア語,ラテン語が重視されていること,それゆえに大学への入学資格にギリシア語,ラテン語の習得が基礎条件とされたこと,また形式陶冶的な立場から両語の組織的,知的性格が学生,生徒の能力の練磨にきわめて有効であると考えられたことなどをあげることができよう。しかし形式陶冶的な考え方が強調されすぎて,教育が言語的な段階にとどまり,ギリシア,ローマの文明そのものの理解が没却されるきらいがある。 20世紀以降,科学,技術の発達,中等・高等教育の普及などがおもな原因で,大学入学資格から除外される傾向を生じ,ギリシア語,ラテン語は他の教科と並列的な扱いを受けるようになってきている。日本では,現在,漢文および古文国語科なか古典として扱われている。

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