改訂新版 世界大百科事典 「古文辞類纂」の意味・わかりやすい解説
古文辞類纂 (こぶんじるいさん)
Gǔ wén cí lèi zuǎn
中国の古典散文の選集。清の姚鼐(ようだい)の編集。1779年(乾隆44)に完成した。方苞(ほうほう)・劉大櫆(りゆうだいかい)の桐城派古文を継承する彼が,先秦から清にいたる古典散文から選び,それを論弁・序跋・奏議・書説・贈序・詔令・伝状・碑誌・雑記・箴銘(しんめい)・頌賛・辞賦・哀祭の13類に分類している。その重点は唐・宋にあるが,明・清の古文も無視していない。桐城派が清の代表的文学流派になったために,以降この分類が古典散文の分類の標準となった。それぞれの分類の前に自序を載せ,その類の歴史とその代表作家の特徴を要約している。編者は当時,漢学派と対立傾向にあったため,漢学派の文章は採用していない。しかし,明代以前の作品の選択はほぼ妥当である。さらに1882年(光緒8)には王先謙編の《続古文辞類纂》,89年には黎庶昌(れいしよしよう)編の続選が出版された。漢文の入門書としては,収録作品のもっとも多い本格的なものである。
執筆者:佐藤 一郎
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報