姚鼐(読み)ヨウダイ

デジタル大辞泉 「姚鼐」の意味・読み・例文・類語

よう‐だい〔エウ‐〕【姚鼐】

[1731~1815]中国、清の文人。桐城(安徽あんき省)の人。あざなは姫伝。号、惜抱せきほう。文を劉大櫆りゆうだいかいに学び、古文桐城派大成考証詞章によって義理を明らかにすることを文章目標とし、「古文辞類纂」を編んだ。

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「姚鼐」の意味・わかりやすい解説

姚鼐
ようだい
(1731―1815)

中国、清(しん)代中期の古文作家、学者。字(あざな)は姫伝(きでん)、号は惜抱(せきほう)。方苞(ほうほう)・劉大櫆(りゅうたいかい)と同じく安徽(あんき)省桐城(とうじょう)の出身。1763年(乾隆28)の進士。翰林院(かんりんいん)庶吉士、編修を経て刑部郎中に至った。『四庫全書』纂修(さんしゅう)官をもって辞任し、以降各地の書院において学を講じ、桐城派古文の学統を継承発展させた。出藍(しゅつらん)の誉(ほまれ)が高く、文章は方苞より優れ、儒学は劉大櫆より深いと評されるようになった。時代の実証主義的傾向、とくに漢学派との調和を図り、義理・考証・文章の三者の総合学への方向へ傾いている。帰有光や方苞にみられた狭さを目ざす方向からの転換である。文章の理想を平淡に置き、なだらかで地味な表現を好んだ。『惜抱軒文集』16巻、『詩集』10巻のほか、『古文辞類纂(こぶんじるいさん)』74巻の編がある。

佐藤一郎 2016年3月18日]

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「姚鼐」の意味・わかりやすい解説

姚鼐
ようだい
Yao Nai

[生]雍正9(1731)
[没]嘉慶20(1815)
中国,清の学者。安徽省桐城県の人。字,姫伝。号,惜抱先生。乾隆 28 (1763) 年の進士。官は刑部郎中にいたった。『四庫全書』の纂修官もつとめ,また江寧揚州などの地方の書院の長を歴任した。同郷の先輩劉大かいから文章を学び,桐城派の中心作家となるとともに,宋学考証学とをともに取入れたその理論を集大成した。古今名文を集めた『古文辞類纂』の編著のほか,『惜抱軒文集』『九経説』などの著がある。

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世界大百科事典(旧版)内の姚鼐の言及

【古文辞類纂】より

…中国の古典散文の選集。清の姚鼐(ようだい)の編集。1779年(乾隆44)に完成した。…

【中国文学】より

… 清朝でも古文の勢力は衰えなかった。その主流は桐城(とうじよう)派とよばれ,開祖とされるのは方苞(ほうほう)で,姚鼐(ようだい)がこれを盛んにした。この派は帰有光の文を高く評価する。…

【桐城派】より

…中国,清代古文の一派,また最大の文学流派名。安徽省桐城県出身の方苞(ほうほう)が基礎をつくり,継承者の劉大櫆(りゆうだいかい),姚鼐(ようだい)がいずれも同県出身のために,この名がある。明代の唐・宋派の系譜に立ち,宋学の学統を守る〈道の文学〉を目指して文章の〈義法〉,すなわち内面的理法と外形的法則の調和を説き,簡潔で質実な文章を書いた。…

※「姚鼐」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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